工場や倉庫経営で入っておきたい火災保険の基礎知識

最終更新日:

工場や倉庫は、一般の住宅やオフィスとは異なり、可燃性の高い資材や製品、高価な機械設備など、特有の火災リスクを抱えています。 そのため、これらの施設に適した火災保険を選ぶことが経営上の重要な課題となります。

火災による直接的な損害だけでなく、事業中断による逸失利益など間接的な損害も考慮し、自社の事業内容や資産状況に合った補償内容を慎重に検討する必要があります。 適切な保険に加入することは、万が一の際の経済的損失を最小限に抑え、事業の早期復旧を支える基盤となります。

工場・倉庫の暑さ対策に『クールサーム®』

屋根に塗るだけで空調代を削減!※1

可視光線、近赤外線のほとんどを反射し、また一部吸収した太陽エネルギーを遠赤外線として放散、さらに遮断層を作り熱伝導を防ぐ、といった特性を持つNASAが開発した特殊なセラミックで屋根や壁面を塗装。劣化の原因となる紫外線もカットして、断熱効果は長期間(10年以上※2)持続可能。コスパの高い断熱素材です。

※1 理想科学工業㈱霞ヶ浦工場の実例を元に、イメージ表示し得られたデータを元に室内空間の温度上昇を抑制することから、空調設備の温度を上げることで電気代等の削減が期待できます。
※2 クールサーム®の実証実験にて10年以上の耐久性を確認しています。詳しくは弊社スタッフまでお問い合わせください

この記事の監修者

株式会社澤村(SAWAMURA)

山々に囲まれ、琵琶湖を臨む滋賀県高島市。
株式会社澤村は1950年の創業以来、地域とともに歩みながら、信頼・実績・技術を受け継いできました。
現在、フィールドは滋賀・京都・福井まで広がり、130名を超えるスタッフと共に、設計・施工の一貫体制でお客さまのご要望にお応えしています。
本コラムは株式会社澤村が運営する工場建築・倉庫建築に関するお役立ちコラムです。

  • instagram
  • youtube
  • facebook

倉庫や工場の火災保険にはどんなものがある?


事業者向けの火災保険には、主に「企業財産保険」や「店舗総合保険」などがあります。 企業財産保険は、工場や倉庫を含む大規模な事業用物件を対象とし、火災だけでなく様々なリスクを包括的に補償する商品です。

一方、店舗総合保険は、小規模な店舗や事務所などを対象とすることが多いですが、倉庫の規模や業種によっては適用可能な場合もあります。 これらの保険は、一般の住宅用火災保険とは異なり、事業活動に伴う多様なリスクに対応できるよう設計されています。 例えば、事業中断による損失を補償する特約や、保管中の製品や商品に対する補償を手厚くすることが可能です。 自社の事業規模やリスクの実態に合わせて、最適な保険商品を選択することが重要です。

火災保険の補償対象と補償内容


火災保険の補償対象は、大きく分けて「建物」「設備・什器」「商品・製品」の3つに分類されます。 建物には、建物本体だけでなく門や塀、付属設備も含まれます。 設備・什器は、製造機械や業務用冷蔵庫、オフィス機器などが該当し、商品・製品は、在庫や原材料、仕掛品などを指します。

基本的な補償内容は、火災、落雷、破裂・爆発が中心です。 さらに、オプションとして風災・雹災・雪災や水災、盗難、水濡れなどの損害を補償する特約を付帯できます。 水災補償は河川の近くや低地にある場合に、盗難補償は高価な商品を扱う場合に検討するなど、立地条件や事業内容に応じて必要な補償を組み合わせることで、リスクに備えられます。

火災によって生じる工場に起こりうる問題とは?


工場で火災が発生すると、建物の焼失や在庫の損失といった直接的な物的損害にとどまらず、事業活動に深刻な影響を及ぼす様々な問題が生じます。 生産ラインが停止すれば、製品の供給が滞り、売上の減少や逸失利益が発生します。 これにより取引先との契約不履行につながり、損害賠償を請求されるリスクや、顧客からの信用を失う可能性も否定できません。

また、従業員の安全確保や、近隣住民への延焼被害による賠償責任問題も発生し得ます。 事業を再開するまでの間の運転資金の確保や、従業員の雇用維持も大きな課題となります。 これらの二次的な損害は、事業の存続そのものを脅かす重大な問題です。

工場倉庫の損害額は非常に大きい


工場や倉庫における火災の損害額は、一般の住宅や店舗と比較して極めて高額になる傾向があります。 その理由として、まず建物自体の延床面積が広く、構造も特殊であるため建築費用が高額であることが挙げられます。 加えて、内部には数千万円から数億円にものぼる高価な生産設備や機械が設置されているケースも少なくありません。

さらに、大量の原材料、仕掛品、完成品といった在庫資産が保管されており、これらが一度に焼失すると被害は甚大になります。 過去の事例では、一つの倉庫火災で数十億円規模の損害が発生したケースもあり、自己資金だけで復旧することは非常に困難です。 そのため、十分な補償額の火災保険に加入しておくことが不可欠です。

倉庫の火災保険で受け取れる保険金の計算方法


火災保険で受け取れる保険金の評価基準には、「新価(再調達価額)」と「時価」の二つが存在します。 新価は、損害を受けた建物や設備と同等のものを新たに建築・購入するために必要な金額を基準とします。 一方、時価は、新価から経年劣化による価値の減少分を差し引いた金額です。

例えば、時価で契約している場合、受け取れる保険金だけでは同等の設備を再購入できず、自己負担が発生する可能性があります。 事業の完全な復旧を目指すためには、新価で契約することが一般的です。 契約時にどちらの基準で保険金額を設定するかによって、万一の際に受け取れる保険金の額が大きく変わるため、慎重な確認が必要です。

倉庫の火災保険料が決まる仕組みと相場


倉庫の火災保険料は、様々な要素を基に算出されます。 主な決定要因は、建物の構造、所在地、建物の面積、業種、そして設定する補償内容と保険金額です。 建物の構造は、耐火性能によってM構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)に区分され、耐火性が高いほど保険料は安くなります。

また、危険物を取り扱う業種は火災リスクが高いと判断され、保険料が割高になる傾向があります。 水災補償を付帯するかどうかや、免責金額(自己負担額)をいくらに設定するかによっても保険料は変動します。 これらの条件が多岐にわたるため、保険料の相場を一概に示すことは困難であり、複数の保険会社から見積もりを取得して比較検討することが不可欠です。

火災保険料を抑える3つのポイント


火災保険料の負担を軽減するためには、いくつかの方法があります。 第一に、補償内容を自社のリスクに合わせて見直すことです。 例えば、高台に立地し水害のリスクが極めて低い場合は、水災補償を外すことで保険料を削減できます。

第二に、免責金額(自己負担額)を高めに設定する方法です。 損害発生時に自己負担する金額を上げることで、月々の保険料を安く抑えることが可能です。 ただし、自己負担可能な範囲で設定することが重要です。 第三に、長期契約を結び、保険料を一括で支払うことです。 多くの保険会社では、複数年の契約を一時払いにすると、年間の保険料が割引される制度を設けています。 これらのポイントを総合的に検討し、コストの最適化を図ります。

工場倉庫の加入する火災保険の保険期間


工場や倉庫が加入する火災保険の保険期間は、一般的に1年単位で設定しますが、最長で5年までの長期契約が可能です。以前は最長10年まででしたが、自然災害の増加などを背景に保険期間は短縮される傾向にあります。

長期契約を選択する主なメリットは、保険料の割引が適用される点です。保険料を一括で支払うことで、1年契約を毎年更新するよりも総支払額を抑えられる場合があります。また、契約更新の手間が省けるという利点もあります。一方で、契約期間の途中で事業内容が大きく変わった場合など、補償内容の見直しがしにくくなる可能性も考慮する必要があります。企業の財務状況や将来の事業計画を踏まえ、最適な保険期間を選択することが求められます。

注意!火災保険の補償が適用されないケース


火災保険に加入していても、すべての場合で保険金が支払われるわけではありません。 保険金が支払われない主なケースとして、契約者や被保険者の故意、または重大な過失によって火災が発生した場合が挙げられます。 例えば、放火や保険金目当ての意図的な火災は補償の対象外です。

また、地震や噴火、およびこれらに起因する津波によって発生した火災による損害は、通常の火災保険では補償されず、別途地震保険への加入が必要です。 戦争や内乱といった非常事態による損害も免責事由に該当します。 このほか、保険の対象としていない動産(データやソフトウェアなど)の損害や、経年劣化による自然な損耗や故障も補償の範囲外となるため、契約内容を十分に確認しておく必要があります。

火災保険でカバーできない損害に備える保険・特約


火災保険だけでは、事業を取り巻くすべてのリスクをカバーすることはできません。 そのため、他の保険や特約を組み合わせて備えを厚くすることが重要です。 例えば、地震による火災や倒壊のリスクには「地震保険」への加入が必須です。

また、火災によって事業が中断した場合の逸失利益や、事業を継続するための仮店舗費用などを補償する「休業損害補償特約」は、事業の早期立て直しに不可欠です。 さらに、火災が原因で第三者の身体や財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に備える「施設賠償責任保険」も検討すべきです。 自社の事業内容や環境を分析し、潜在的なリスクを洗い出した上で、必要な補償を組み合わせて万全の対策を講じます。

よくある質問


工場や倉庫の火災保険を検討する際、多くの経営者が抱く疑問は共通しています。 例えば、賃貸物件での加入義務や、支払った保険料の経理上の扱い、自然災害との関連性など、実務的な質問が寄せられます。

ここでは、そうした頻出する質問に対して具体的に回答し、保険選びや契約内容の理解を深めるための情報を提供します。 保険金の算出方法や保険料を抑えるコツなど、コストに関わる疑問にも触れていきます。

賃貸倉庫でも火災保険に加入する必要はありますか?

賃貸倉庫であっても、火災保険への加入は基本的に必要です。 建物自体の火災保険はオーナーが加入しているのが一般的ですが、借主は自社が所有する在庫商品や機械設備、什器などを守るための保険に自ら加入しなければなりません。 これらはオーナーの保険では補償されないためです。

また、自社の過失で火災を起こし、建物や他のテナントに損害を与えてしまった場合に備え、オーナーに対する賠償責任を補償する「借家人賠償責任保険」や、第三者への賠償をカバーする「施設賠償責任保険」への加入が求められます。 多くの場合、賃貸借契約書でこれらの保険への加入が義務付けられています。

火災保険の保険料は経費として計上できますか?

事業のために使用している工場や倉庫の火災保険料は、法人であれば損金、個人事業主であれば必要経費として全額を計上することが可能です。 会計処理を行う際の勘定科目は「損害保険料」を用いるのが一般的です。 ただし、保険期間が1年を超え、保険料を一括で支払った場合は注意が必要です。

その場合、支払った事業年度で全額を経費にするのではなく、当期の経過期間に対応する分のみを費用として計上し、残りの未経過分は「前払費用」として資産計上します。 そして、翌期以降に期間の経過に応じて費用に振り替える会計処理(期間按分)を行う必要があります。

地震が原因で発生した火災も補償されますか?

通常の火災保険の契約だけでは、地震、噴火、またはこれらによる津波が原因で発生した火災による損害(地震火災)は補償されません。これは免責事由として定められています。地震による火災や建物の倒壊・損壊といったリスクに備えるためには、火災保険に「地震保険」を付帯して加入する必要があります。

地震保険は、居住用の建物と家財を対象としており、独立した店舗や事務所などの事業用の建物は原則として対象外です。 ただし、住居と店舗が一緒になった併用住宅であれば、居住部分が含まれるため地震保険に加入できます。 その場合でも、営業用の什器や備品、商品は地震保険の対象外となります。

事業用の建物で地震による損害に備えるための保険としては、地震保険とは異なる「地震危険補償特約」などがあります。 このような特約は保険会社によって引き受けの条件や補償内容が異なるため、補償を希望する場合は、契約している保険会社や代理店に、事業用物件向けの地震危険補償特約などの取り扱いがあるかを確認することが重要です。

保険金はどのように算出されるのですか?

支払われる保険金は、契約時に設定した「保険金額」を上限として、実際に発生した「損害額」に基づいて算出されます。 具体的には、損害額から契約時に定めた「免責金額(自己負担額)」を差し引いた金額が保険金として支払われます。

この損害額の評価基準には「新価(再調達価額)」と「時価」があり、契約内容によって異なります。 新価契約であれば、同等のものを再取得するために必要な金額が補償されるため、復旧時の自己負担を抑えることができます。 一方、時価契約の場合は経年劣化分が差し引かれるため、十分な復旧費用を保険金だけでまかなえない可能性があります。

保険料を安く抑えるにはどうすれば良いですか?

保険料を安く抑えるためには、いくつかの方法が考えられます。 まず、自社のリスク実態に合わせて補償内容を見直し、不要な特約を外すことです。 例えば、水害の可能性が低い立地であれば水災補償を外すといった判断が挙げられます。

次に、免責金額(自己負担額)を高く設定することです。 自己負担額を上げることで保険会社の負担が減るため、保険料は割安になります。 さらに、保険期間を1年ではなく複数年の長期契約にし、保険料を一括で支払うことで割引が適用されることもあります。 これらの方法を検討すると同時に、複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容と保険料を比較することが最も効果的です。

工場・倉庫の暑さ対策に『クールサーム®』

屋根に塗るだけで空調代を削減!※1

可視光線、近赤外線のほとんどを反射し、また一部吸収した太陽エネルギーを遠赤外線として放散、さらに遮断層を作り熱伝導を防ぐ、といった特性を持つNASAが開発した特殊なセラミックで屋根や壁面を塗装。劣化の原因となる紫外線もカットして、断熱効果は長期間(10年以上※2)持続可能。コスパの高い断熱素材です。

※1 理想科学工業㈱霞ヶ浦工場の実例を元に、イメージ表示し得られたデータを元に室内空間の温度上昇を抑制することから、空調設備の温度を上げることで電気代等の削減が期待できます。
※2 クールサーム®の実証実験にて10年以上の耐久性を確認しています。詳しくは弊社スタッフまでお問い合わせください

SAWAMURAについて

1950年の創業以来、地域に貢献すること、お客様の事業の発展に寄与することを目標に
さまざまな建築物を竣工してきました。1998年よりシステム建築事業をスタート。
豊富な経験と実績をもとに、さまざまなご要望にお応えします。

関西No.1のシステム建築実績。
積み重ねた施工実績とノウハウで、
確かな精度を保証します。

2020年
関西ブロック優秀ビルダー賞1位
2019年
関西ブロック優秀ビルダー賞3位
関西ブロック年間販売実績 第1位 5年連続受注賞
アティブビルダー銀賞受賞
2018年
関西ブロック年間販売実績 第3位 5年連続受注賞
アクティブビルダー銅賞受賞
2017年
アクティブビルダー銅賞受賞
2016年
アクティブビルダー銅賞受賞
2015年
アクティブビルダー 銅賞受賞
2012年
連続販売年数15年達成
2013年
15年連続受注賞
2008年
10年連続受注賞 2005年 5年連続受注賞
2004年
優秀ビルディング

資格所有者

  • 一級建築士 13人
    二級建築士 41人
    一級建築施工管理技士 29人
    一級土木施工管理技士 10人
  • 宅地建物取引士 19人
    設備設計一級建築士 1人
    土地家屋調査士 1人
    一級建設業経理士 2人
    中小企業診断士 1人​

会社概要

社名 株式会社澤村
本社 〒520-1121 滋賀県高島市勝野1108番地3
TEL. 0740-36-0130(代)
FAX. 0740-36-1661
大津オフィス 〒520-0242 滋賀県大津市本堅田三丁目33-16 エルミナ リアン 2F
TEL. 077-572-3879
FAX. 077-573-8384
敦賀オフィス 〒914-0811 福井県敦賀市中央町一丁目8-10
TEL. 0770-22-6005
FAX. 0770-47-6405
資材センター 滋賀県高島市勝野873-1
創業 昭和25年12月6日
資本金 50,000,000円(グループ全体)
従業員数 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在
売上高 63億円(グループ全体)※2024年9月実績
営業種目 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用
許可・登録 〈建設業許可〉 
滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号
〈一級建築士事務所〉 
滋賀県知事登録(カ) 第126号
〈宅地建物取引業者〉 
滋賀県知事登録(12) 第1267号
取引銀行 滋賀銀行 高島支店
関西みらい銀行 安曇川支店
滋賀県信用組合 安曇川支店
関連会社 株式会社トータル・オーガニック・プランニング
沢村ホーム株式会社
関西No.1のシステム建築実績。

人気記事

工場・倉庫建築について
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。

  • これから計画を始める方
  • おおよその予算やスケジュールが知りたい方
  • 敷地調査や提案を希望される方
077-572-3879平日 8:15~17:15

創業70年。

設計企画力、デザイン性、施工品質
ワンストップに満足いただけます

京都・滋賀・福井エリア対応