「概算見積書」の正しい理解とは?注意書きについて
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「概算見積」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
概算とは「おおよその計算」や「おおむねの計算」の意味であり、「概算見積」とは現時点の暫定的な見積のことです。
この概算見積には、いくつかのポイントがあります。また、概算見積の時に生じがちな誤差を抑える方法があります。
本記事では「概算見積」とは何か、概算見積をするための必要条件、そして概算見積についての様々な注意事項をご紹介いたします。
概算見積と本見積の違い
「概算見積」とは正式な金額ではなく、現時点の暫定的な見積のことです。
工場建設は、打ち合わせの進行状況に応じ、建設会社より概算見積が提出されます。施主様は見積金額と事業実現性を見定め、方針の決定を行います。
「概算見積」の対義語は「正式見積」や「本見積」と呼ばれ、材料や人工数量や工事諸条件に応じた精緻な見積です。
概算見積の必要条件と見積精度の関係性
一般的に概算見積書は積算可能な図面の完成後となります。
積算可能な図面とは平面図、立面図、断面図、仕上げ表などです。これらが完成すると最低限の概算見積金額算出が可能となります。
施主様にとって建築費は、プロジェクト成否を左右する重要事項であり、いち早く建築費を知りたいという心理が故、「坪単価幾ら?」や「現時点の概算で幾ら?」との質問をいただくことがあります。
しかし、概算見積に必要な最低限の図面や条件を満たさない打合せ序盤は、見積精度が低い「絵に描いた餅」となるケースが多くみられます。
建設会社は概算見積に必要な条件を満たさない段階では、
「工事の際、概算見積時に把握できなかった工事が発生するかも」
「少なく見積もって工事の際に赤字になるのでは」
などといった心理的不安要素の分を、見積の金額に加算します。
これを見積の安全率といい「絵に描いた餅」の原因のひとつとなります。
打合せの序盤は「施主要求事項を正しく理解出来ない」状態であり、さらに「概算見積は何が含まれているの?」など施主様と建設会社両者の概算に対する認識のズレが不安要素となります。
その結果、工事金額逸脱の回避のため施主様が高いと感じられる見積金額となってしまうケースが多く存在します。
施主様と打合せを重ねることで、必要最低限の条件が揃い、建設会社の不安要素が減り、建築コストを抑えた提案と共に見積精度が高まるため、事業実現性も正しく評価可能となります。
つまり、概算見積金額はコミュニケーション量に大きく左右されるということです。
施主様の「要望を理解する建設会社」をご選定頂くと、プロジェクト段階ごとの見積提出により希望予算に応じた提案がなされ、円滑な工場建設プロジェクト進行となります。
複数社での見積徴収での注意点
複数の建設会社から見積徴収すると、
「同じ図面なのに、各社によって金額の違いがでるの?」
と金額差異に驚かれることがございます。
その差異は、建設会社の見積情報獲得に必要なコミュニケーション力により、大きく変動します。
工場建設の知識や経験の乏しい建設会社は、見積必要情報が正確に獲得できず、設計・施工ミスのリスク回避のため安全率が大きくなり、見積金額が高くなる傾向です。
特に、ユーティリティと呼ばれる電気、機械設備、空調、圧縮空気、冷蔵・冷凍等やHACCP運用方法を把握できない建設会社の概算見積金額は、施主様予算から逸脱することがよくみられます。
当初の情報不足はプロジェクト進行につれて、施主様予算と見積金額の乖離が大きくなり、工場操業時期の遅延や追加金額の発生リスクを高めるでしょう。
一方、工場建設の知識や経験を有する建設会社は、打合せで見積の必要情報を獲得するコミュニケーションを図ります。
導入予定機械、作業動線の生産活動などをヒアリングし、予算を逸脱予防するCD(コストダウン)VE(バリューエンジニアリング)を積極的に採用し施主様の希望予算に合わせるため模索のうえご提案が可能です。
例えば、複数の建設会社から見積徴収し、
「この建設会社は見積金額が安いからここに決めて話を進めよう!」
と業者選定をします。
すると、プロジェクトが進行するにつれて、希望予算と乖離しはじめ、事業計画停止や延長、工事や完成後に追加工事請求が発生し、ファイナンス再構築や納入機械断念による生産性低下など多大な影響が及ぶ恐れがあります。
当初見積では一番安価であったけど、追加工事や工事不具合で、結果的に業者選定時の高い建設会社より高くなったなどのケースも少なくありません。
建設会社の力量はコミュニケーション力であり、コミュニケーション量は価格に大きな影響を与えます。
繰り返しになりますが「要望を理解する建設会社」の選定が工場建設には重要です。
施主様が見落としがちな概算見積のポイント
概算見積では、現地の詳しい調査や細かな仕様が決定する前に建築費を算出します。
そのため、実際にかかる建築費との誤差が発生しやすく、追加工事のため予算をオーバーしてしまうことも少なくありません。
概算とはいえ、その後の建設計画に大きな影響を与える可能性があるので、概算見積の時点で確認しておくべきポイントを抑えておきましょう。
概算見積を確認する際、注意したいポイントは以下の4点です。
1.施工現場の調査
2.土地の条件確認
3.機器や設備の選定
4.物価変動の把握
ひとつずつ解説していきます。
施工現場の調査
概算見積を確認するにあたり、施工現場の調査がされているかを必ず確認してください。
建築基準法や都市計画法で定められている用途規制や形態規制に適合しない場合、建設計画を大きく変更しなければならず、見積金額にも変動が生じます。
関連法規に適合しなければ着工できない場合があるので、概算見積の段階でしっかりと確認しておきましょう。
建設計画が関連法規に適合するかの判断は複雑で難しいため、経験豊富で関連法規にも精通している建設会社へ相談するのが安心です。
土地の条件確認
概算見積の段階では、地盤調査などの詳細な土地の調査は行われないのが一般的です。
地盤調査の結果、地盤改良が必要となった場合には追加費用が発生するため、想定しておくとよいでしょう。
地形が複雑な場合、建設に際して地形に合わせた追加工事が必要になります。
例えば、斜面地に建設する場合は、盛土や切土などの斜面対策が必要です。
さらに、建設に支障をきたす岩盤が着工後に現れた場合、岩盤除去工事が必要になるため、追加で費用が発生します。
このような追加工事は、事前に把握できるものと、イレギュラー的に発生するものがあります。
事前に把握できるものを見落としていないか、想定できる追加工事は考慮されているかなど、概算見積の内容を確認しておきましょう。
機器や設備の選定
機械設備や空調、圧縮空気、冷蔵・冷凍などの工場設備は、建築費に大きく影響します。
少々の仕様変更でも、多大な追加費用が発生する可能性があるので、工場稼働に必要な機器や設備は設計案にしっかりと反映させてください。
設計計画は工程が進むほど変更しづらく、追加で必要となる費用も大きくなる場合が多くあります。
工場建設の目的やビジョンを、概算見積の段階から明らかにしておくことが重要です。
物価変動の把握
予算を設定した時点から物価に大きな変動があれば、工場建築費も合わせて変動します。
具体的には、外部環境の変化により労務費や材料費が変動する可能性があります。
労務費や材料費の高騰により、建築費が当初の概算見積から逸脱してしまった場合、予算の増額や計画の変更は避けられません。
大幅な計画変更による損害を出さないためにも、できれば予算を立てる段階から、外部環境の変化や物価上昇を予測して計画するのがよいでしょう。
概算見積の誤差を抑える方法
概算見積はおおまかな建築費を把握するために算出するので、実際にかかる費用との誤差が発生することは少なくありません。
しかし、概算見積を参考に建設会社の選定や予算との照らし合わせをすることを考えると、誤差は少ない方がよいでしょう。
概算見積の誤差を抑える方法は以下の3つです。
1.必要な構造や仕様を綿密に計画
2.細かな打合せの実施
3.余裕を持ったスケジュールの設定
これら3つに気を付けることで、概算見積後のイレギュラー発生を減らし、追加費用や計画変更が発生しにくくなります。
建設会社を選定する際の基準や参考にもなるので、ぜひ確認してください。
必要な構造や仕様を綿密に計画
実際の工場稼働に必要な構造や仕様を綿密に計画することで、概算見積の誤差を抑えられます。
特に以下の内容は、あとから変更すると概算見積から大きく逸脱する可能性が高いので注意してください。
●建物の構造や配置
●建物内部の仕上げや設備配置
●機器や設備の配置
●電気・計測装置の配置
工場の構造や仕様を綿密に計画し、変更を減らすためには、新工場の目的やビジョンを明確にもつことが重要です。
さらに、新工場の目的やビジョンを正確に設計計画に落とし込むことで、概算見積の誤差を減らします。
必要な構造や仕様をしっかりと設計計画に反映させるには、経験豊富なプロのサポートが欠かせません。概算見積の段階から、的確なサポートを提供する建設会社を選定するとよいでしょう。
細かな打合せの実施
概算見積の誤差を抑えるためには、建設会社と綿密な打合せを重ね、工場建設の細かなビジョンまで共有することが重要です。
概算見積の段階で新工場のビジョンを共有できていれば、見積後に誤差が発生しにくくなります。
概算見積の打合せで建設会社と共有しておきたいビジョンには、以下のものがあります。
●新工場建設の目的や目標
生産ラインの能力拡大、省エネや環境保全の取り組みなど、新工場稼働の目的を共有する
●建設予算や期間
工場建設に必要な予算や期間を共有することで、適切な範囲に収まるよう建設会社と協力してプロジェクトを進められる
●建設のデザインや機能性の要望
生産ラインのレイアウトやスペース、セキュリティー、従業員の快適な職場環境など、具体的な要望を伝える
●生産プロセス
工場稼働後の生産工程、機器や設備の配置、人員配置、などを共有し、建設会社とともに最適な生産プロセスを策定する
●安全への取り組み
安全装置や設備の配置など、工場内での安全対策について細かくチェックし、認識をすり合わせておく
これらすべてのポイントを共有するためには相当のコミュニケーションコストが発生します。
概算見積の打合せを重ねながら、「要望を理解する建設会社」であるかを判断できるのが理想です。
コミュニケーションに長け、要望をしっかりと理解できる会社を選定すると、お互いに齟齬なく円滑に建設計画を進められるでしょう。
余裕を持ったスケジュールの設定
概算見積後にイレギュラーが発生し、建設計画の変更が必要となった場合、スケジュールに余裕がないと柔軟な対応が難しくなります。
多くの場合、工事日程がずれ込み工場稼働開始が遅れれば、大きな損害につながります。
そのため、イレギュラー発生時は追加工事などで対応せざるを得ず、概算見積から大きく逸脱してしまうでしょう。
工期や工場稼働までのスケジュールに余裕をもたせることで、概算見積の誤差を減らすための調整や検討の余地が生まれます。
イレギュラーを発生させないよう対策するだけでなく、発生してしまった場合も想定してスケジュールを設定しましょう。
まとめ
工場建設で重要なのは、施主様と適切なコミュニケーションが取れる「要望を理解する建設会社」を選定することであるとお判りいただけたかと思います。
工場建設を成功させるためには、「概算見積」はあくまでも決定要因の目安であり、「概算見積金額の高低」ではなく、施主様の考える「費用対効果」に「概算見積金額」が見合うかどうかの見定めが重要です。
株式会社澤村では、施主様の事業への想いや事業計画を伺い、打合せがスタートします。
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二級造園施工管理技士 4人 -
宅地建物取引士 9人
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一級建設業経理士 2人
会社概要
社名 | 株式会社澤村 |
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資材センター | 滋賀県高島市勝野873-1 |
創業 | 昭和25年12月6日 |
資本金 | 50,000,000円(グループ全体) |
従業員数 | 138名 (グループ全体)※2022年9月時点 |
売上高 | 50億 (グループ全体)※2022年9月実績 |
営業種目 | 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用 |
許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
役員氏名 |
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関連会社 | 株式会社トータル・オーガニック・プランニング 沢村ホーム株式会社 |
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