倉庫の天井高はどのくらい必要?高さの目安や断熱のポイントについて解説

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倉庫の設計において天井高の設定は非常に重要で、 倉庫の用途や取り扱う商品の種類、さらには作業環境などが具体的な高さを決定する際の主な指標となります。
本記事では、天井の適切な高さや、断熱のポイントについて解説していきます。
倉庫の天井高とは?
貸し工場や倉庫を選んだり建設する際は、立地や広さだけではなく、天井高にも注意して検討することが大切です。
・建築基準法における天井高の基準
・天井高の重要性が高い倉庫の種類
2点について、解説していきます。
建築基準法における天井高の基準
日本の建築基準法において、居住空間に求められる天井高は最低でも2.1メートル以上と定められています。一方、業務用の建物、特にオフィスビルや工場、倉庫については、求められる天井高が異なります。工場や倉庫では5メートルから7メートルの天井高が標準的で、これはフォークリフトを使用するなどの物流作業を円滑に行うために重要です。 特定の用途によっては、さらに天井高を調整する必要があることもあります。 例えば、工業製品や機械部品を扱う倉庫は、高さのあるラックを用いるため、高い天井が必要となるケースが多いです。このような設計は、商品の保管や作業空間の効率を高める要素として非常に重要です。 このように、建築基準法における天井高の基準は、もっぱら安全性や快適性だけでなく、業務の効率性にも深く影響を与える要素となっています。各種の用途や作業環境に応じて、適切な天井高を設定することが、長期的な視点から見た時のメリットやコスト削減につながることでしょう。
高い天井が必要なケース
「大型商品や機器の取り扱いがある」「保管面積を広く確保したい」
上記のような要望がある場合は、高い天井が適しています。
大型商品の取り扱いやクレーンを使用する倉庫
大型商品の取り扱いやクレーンを使用する倉庫では、高い天井が不可欠です。これにより、大型機械や商品が自由に移動でき、収納スペースも効率的に活用できます。クレーンを設置する際は、建物の構造に応じてレールを配置したり、土台を組んで設置する必要があります。これにより、5メートル以上の天井高さが必要となります。また、高さが充分でないと、大型商品の搬入出やクレーンの操作に支障をきたし、作業効率が低下する恐れがあります。
例えば、自動車部品や重機を扱う倉庫では、床面積を最大限に活用するために高い天井が求められます。このような環境では、クレーンによる荷物の移動が頻繁に行われるため、設計段階から天井高を考慮しておくことが重要です。
保管面積を広く確保したい場合
倉庫を検討する際、保管面積を広く確保したい場合には特に天井高に注目が必要です。天井高が高い場合、ラックを複数段に積み上げることができ、限られた床面積でも多くの荷物を保管することが可能となります。このような積み上げ収納は、通常の棚やラックでは実現できない効率的なスペース活用を可能にします。
さらに、高い天井は商品を取り扱う時の作業環境にも影響を及ぼします。従業員がフォークリフトを運転する際など、高さを利用できることで、作業の安全性と効率性も向上します。また、大きな機械の移動についても、スペースに余裕が生まれるため作業時のストレスが軽減されます。実際、天井高が高い倉庫では、作業のスムーズさから生産性が向上したとのデータも報告されています。
低い天井が必要な倉庫
一方で、温度管理が重要な倉庫では、低い天井が適している場合があります。 例えば、食品や医薬品を扱う倉庫では、温度や湿度の管理が厳しく求められます。このような場合、倉庫自体の温度変化を抑えるために天井の低さを活用し、より効率的な管理を実現することが可能となります。低い天井によって空気の滞留を防ぎ、エアコンの稼働効率を高めることができます。さらに、低い天井は冷暖房にかかるエネルギーコストの削減にもつながります。実際の事例として、ある製薬会社の倉庫では、天井を低く設計することで、冷却負荷を約20%削減したというデータがあります。このような措置により、企業は運営コストの削減と環境への配慮を実現しています。
倉庫の天井高が高いメリット
倉庫の天井高が高いことによるメリットについてご紹介します。
保管効率を高めることができる
天井が高い倉庫では、保管効率を大幅に向上させることが可能です。特に、重い商品を扱う場合でも、高さを活用した収納が可能になります。高さのあるラックを利用することで、空間を有効に活用しながら効率的な保管が実現できます。また、2階構造の収納スペースを導入することで、限られた土地をさらに効果的に利用することができ、資源の無駄を最小限に抑えることができます。このように、天井の高さを活かすことで効率的かつ経済的な運用を可能にします。
作業空間の快適性向上
高天井は、広々とした作業環境を提供し、全体的な快適性を大きく向上させます。このような高い天井がもたらす開放的な空間は、作業効率を高めるだけでなく、従業員の疲労感を軽減する効果もあります。また、高天井の設計により、空気の循環が良くなり、高性能な扇風機や適切な照明の組み合わせとともに、快適な職場環境を実現することが可能です。
作業空間が広がると、ストレスを感じにくくなり、従業員が快適に過ごせる時間が増えるため、モチベーションの向上につながります。この環境は、長時間の勤務でも作業者が集中力を維持しやすく、生産性をさらに高める効果があります。結果として、従業員がより良い成果を出し、企業全体の業績にもポジティブな影響をもたらします。快適で効率的な環境づくりの一環として、高天井とそれに適した照明や空調の導入を検討する価値は非常に高いと言えます。
倉庫の天井高が高いデメリット
一方、天井高が高いことにはデメリットも潜んでいます。
冷暖房効率の低下
高天井の倉庫では、空調と換気が困難になることが多く、冷暖房効率が低下します。特に、温度や湿度に敏感な商品を扱う際には、倉庫内の気温の変化が大きくなりやすく、その管理が十分に行き届かないことがあります。この問題は、高い天井の空間に冷暖房のエネルギーが無駄に分散することによってさらに深刻化します。こうした倉庫では、クレーンなど大型設備を設置している場合も多く、これが空調効率に影響を与えることも考慮する必要があります。また、冷蔵が必要な商品を取り扱う場合には、温度管理の精度を保つために、断熱材の使用や特殊な空調システムの導入が欠かせません。これらの対策を講じることで、冷蔵商品の品質を維持するとともに、冷暖房効率の向上が期待できます。
建設コストの増加
さらに、天井高の増加に伴い、建設コストも増加する傾向にあります。高い天井を実現するためには、耐久性の高い素材やより強靭な構造材が必要となり、それに伴い専門的な施工技術も求められるため、全体のコストが大幅にかさむ場合があります。このため、計画段階で使用する素材の選定や施工方法についても詳細に検討し、正確なコストの見積もりを行い、適切な予算を設定することが重要です。
天井が高い倉庫における断熱の重要性
天井の高い倉庫や工場のデメリットとして、冷房効率の低下を紹介しました。断熱をしっかり対策することで、冷房効率を向上させることができます。特に、温度や湿度に敏感な商品を保管する場合、適切な断熱が施されているかどうかが、品質維持に大きな影響を及ぼします。断熱がしっかりされていれば、倉庫内の温度が外部環境の影響を受けにくくなります。
倉庫断熱のポイント
倉庫断熱を効果的に行うためには、使用する断熱材の種類や厚さが断熱性能に大きな影響を与えます。断熱材を選ぶ際には、素材の熱伝導率が低いものを選び、施工方法にも注意することで、より効率的な断熱が可能となるでしょう。
断熱の観点からは、開口部の熱損失を最小限に抑えることが求められます。窓やドアの設計や選択を適切に行うことで、外気との温度差による結露の発生を抑えられるため、倉庫環境の劣化防止にもつながります。特に、結露対策を適切に実施することは倉庫内の快適性と耐久性を向上させるために重要なポイントです。
さらに、倉庫全体の構造自体も断熱性能に直接影響を与えます。外壁や屋根の素材、およびその組み合わせが断熱性に寄与するため、これらを見直すことが効果的です。例えば、断熱材だけでなく外壁全体の性能を向上させることで、結露を防ぎつつ、一層高い断熱効果が実現します。これらの要素を総合的に考慮することで、効率的で持続可能な断熱対策を講じることが可能です。
天井断熱と屋根断熱の違い
天井断熱と屋根断熱は、似ているようで異なる役割を持つ断熱方法です。天井断熱は主に天井材の裏側に設置され、室内の熱を逃さないことで、倉庫内の温度を一定に保つ役割を果たします。これにより、冷暖房の使用エネルギーを節約し、快適な作業空間を提供することが可能になります。また、天井材の裏へ断熱材を効果的に取り入れることで、更なる省エネ性能を実現することもできます。
一方、屋根断熱は外部からの温度変化を抑えるために設けられ、特に夏季の強い日差しや冬季の寒冷な気候条件から建物を守ることに重点を置きます。屋根からの熱の侵入や流出を防ぐことで、室内の温度差を最小限に抑え、全体的なエネルギー効率を向上させることが可能です。これらの断熱方法を併用することにより、より高い遮熱効果が期待でき、結果として運用コスト削減に大いに貢献します。
断熱材の活用による効果
倉庫の空調問題の解決策として、断熱材の活用は非常に効果的です。断熱性能の優れた材料を採用し、遮熱シートを併用することで、外気温と室内温度の影響を大幅に軽減できます。これにより、冷暖房効率が向上すると同時に、エネルギーコストの削減にもつながります。
さらに、断熱材や遮熱シートの活用は結露防止にも有効です。結露が発生すると、商品や設備に悪影響を及ぼし、結果として商品寿命が短くなる可能性があります。適切な断熱材や遮熱シートの選定と適切な施工は、倉庫内の温度と湿度を安定させるだけでなく、環境全体の品質を保つ上で重要です。
倉庫の断熱に適した素材
断熱材には、さまざまな素材がありますが、特に発泡ポリスチレンやグラスウールがよく使用されます。これらの材料は、優れた断熱性能を持ちながら、取り扱いも比較的容易です。
また、断熱ボードを使用した施工は、効果的な方法の一つです。設置後の劣化が少なく、長期的に安定した性能を発揮します。これにより、倉庫全体の温度管理が格段に向上することがあります。
天井が高い倉庫における空調問題の対策について
倉庫内での空調問題は、温度や湿度の管理に関連した大きな課題です。特に、商品や作業環境に影響を及ぼすため、適切な対策が求められます。
空調機の活用
空調機の選定も空調問題の解決において重要な役割を果たします。業務用エアコンや冷暖房機能を持つ機器の導入を検討することが必要です。倉庫の大きさや用途に適した機種を選ぶことで、効果的な温度管理が可能です。
適切な空調機を導入する際は、設置の位置や稼働時間の設定も考慮すべきです。地域の気候や運用状況に応じた最適な条件で稼働させることで、資源を有効に活用することが成功の鍵となります。
シーリングファンや大型扇風機の活用
空調の効率をさらに高めるためには、シーリングファンや大型扇風機の導入が非常に有効です。これらのファンや扇風機は、空気を効率よく循環させることで、均一な温度制御を可能にします。特に高天井の倉庫や広い空間では、上下方向の空気循環が重要で、ファンと扇風機を活用することで温度差を効果的に緩和できます。
さらに、これらの機器はエアコンの負担を軽減し、省エネを実現するための優れたツールです。ファンや扇風機の適切な配置により、エアコンの使用頻度が抑えられ、エネルギーコストの削減につながります。また、これにより作業環境が快適になり、急激な温度変化を防ぐ効果も期待されます。ファンや扇などを取り入れることで、長期的なコスト削減に加え、快適な作業空間が実現するでしょう。
スポットクーラーの活用
また、スポットクーラーの導入も非常に有効な手段です。特に特定のエリアや商品に対して集中冷却を行いたい場合、効果的に温度を管理できます。この機器は、小物や特定商品に対して柔軟に対応できるため、効率的に省エネも実現します。
スポットクーラーは、温度が敏感な商品を保持する場所に設置することで、より効果的な空調管理が可能となります。これにより、全体の環境が整い、保管している商品の品質を保つことが可能です。
まとめ
倉庫の設計や運用においては、天井高、断熱、空調といった要素が非常に重要です。
特に天井高は、保管効率や作業環境に大きく影響を与えるため、慎重に検討することが求められます。倉庫によって扱う商品や用途が異なるため、適切な高さを選定することが必須です。
また、断熱の重要性も強調されます。効果的な断熱は、エネルギー消費の削減や製品の品質維持につながります。使用する断熱材の選定や施工方法についても注意を払い、十分な性能を持った倉庫環境を整えることが期待されます。
さらに、空調問題に対してはさまざまな対策が考えられます。断熱材の活用や空調機の適正な配置、またシーリングファンやスポットクーラーの導入など、効果的な方法を組み合わせることで、より快適な環境を実現できます。
倉庫の運営には、多角的な視野が求められますが、すべての要素が関連し合っていることを認識することが重要です。しっかりとした計画と実行により、効率的かつ快適な倉庫運営が可能となるでしょう。
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資材センター | 滋賀県高島市勝野873-1 |
創業 | 昭和25年12月6日 |
資本金 | 50,000,000円(グループ全体) |
従業員数 | 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在 |
売上高 | 63億円(グループ全体)※2024年9月実績 |
営業種目 | 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用 |
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取引銀行 | 滋賀銀行 高島支店 関西みらい銀行 安曇川支店 滋賀県信用組合 安曇川支店 |
関連会社 | 株式会社トータル・オーガニック・プランニング 沢村ホーム株式会社 |
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