工場・倉庫の屋根の種類について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説

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工場・倉庫の屋根の種類について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説
工場や倉庫の屋根には様々な種類があり、それぞれに特有の性質があります。施設の機能性や耐久性を維持するためには、屋根材の適切な選択が非常に重要です。ここでは、工場や倉庫で主に使用されている代表的な屋根材について、その特徴やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
工場や倉庫で使われる屋根の種類とは?
工場の屋根の種類や倉庫に用いられる屋根材としては、主に「波型スレート屋根」「折板屋根」「瓦棒屋根」の3種類が挙げられます。それぞれの屋根の種類には独自の特徴と利点があり、施設の用途や条件に応じて選ばれる傾向があります。
工場の屋根の種類や倉庫に採用される屋根材を選ぶ際には、施設の規模や使用環境、予算などを考慮しながら適切なタイプを選ぶことが重要です。それぞれの屋根の種類が持つ特性を理解し、最適な屋根材を選ぶことで、より効率的で安全な施設運営を実現することができます。
波型スレート屋根の特徴
波型スレート屋根は、セメントと繊維を混ぜて作られた波状の屋根材です。戸建て住宅で使われる化粧スレートと同じ成分で構成されています。波の大きさによって大波スレートと小波スレートに分類されます。現在、大波スレートは屋根や外壁に、小波スレートは主に外壁に使用されていますが、古い建物では小波スレートが屋根に使われていることもあります。
波型スレートは耐久性、断熱性、遮音性、耐火性に優れており、比較的安価なため、工場や倉庫の屋根材として広く用いられています。 ただし、表面が汚れやすいという欠点もあります。
注意点として、2004年以前に製造された波型スレートにはアスベストが含まれている可能性が高いことが挙げられます。 アスベスト含有の波型スレートは、破損しない限りアスベストが飛散する危険性は低いとされていますが、解体時には適切な飛散防止措置が必要です。
折板屋根の特徴
折板屋根は、金属をジグザグに折り曲げた構造を持つ屋根材であり、屋根の種類の中でも特に優れた特徴を持っています。この独特な形状は、金属を折り曲げることで強度を高める構造に起因しています。その結果、折板屋根は軽量でありながら高い耐久性と強靭性を誇り、特に風の強い地域や広い屋根を必要とする施設で重宝されています。
折板屋根のも
う一つの特徴は、梁や母屋に直接設置する構造であるため、野地板を必要としない点が挙げられます。これにより施工が簡単になり、工期を大幅に短縮することが可能です。このような効率性は、特に工場や倉庫、体育館などの大規模施設での採用を後押ししています。また、耐候性にも優れており、風雨への耐性が高い点から、大型施設のみならず、事業用施設全般で広く採用されている理由のひとつと言えるでしょう。
近年では、工場や倉庫などの施設で折板屋根が主流となってきており、その高い機能性が多様な用途で活かされています。これらの特徴を考慮すると、折板屋根は強度や施工性が求められる場面で非常に適した屋根材であることがわかります。
瓦棒屋根の特徴
瓦棒屋根は、細い角木材の瓦棒と金属の溝板で構成された伝統的な屋根形式です。これにより、雨水の排水性能が向上し、倉庫などの建物の保護に寄与します。特にガルバリウム鋼板が用いられることが多く、耐久性や軽量性が求められる今日のニーズに応えています。
屋根の形状としては、斜めに設計されており、積雪や雨水が溜まりにくいのが特徴です。このため、メンテナンスも比較的容易と言えます。薄型でありながら強度があるため、施工性にも優れ、さまざまな倉庫のサイズや用途に適応可能です。
その他の工場・倉庫の屋根材
工場や倉庫の屋根材としては、上記の代表的な屋根以外にもいくつかの種類があります。縦葺き屋根もその一つで、屋根の勾配に沿って金属などの長尺屋根材を施工する工法です。縦葺き屋根には、立平葺きや瓦棒葺き、三晃式葺きなどの種類があり、継ぎ目の処理によって区分されます。金属製で軽量なものが多く、雨仕舞いに優れているという特長があります。近年では、工場や倉庫だけでなく、住宅にも採用されることが増えています。
工場・倉庫の屋根材の種類別メリット・デメリット
工場や倉庫の屋根に使用される主な屋根材であるスレート、折板屋根、瓦棒屋根には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。これらの特性を理解することは、施設の用途や環境に最適な屋根材を選定する上で非常に重要です。以下にそれぞれの屋根材のメリットとデメリットについて解説します。
スレート屋根のメリット・デメリット
スレートのメリット・デメリットを解説します。
スレート屋根のメリット
スレート屋根のメリットは、耐久性や耐火性の高さが挙げられます。雨風や火災から建物を守る上で、これらの性能は重要です。また、スレート屋根は遮音性にも優れており、特に人が聞こえやすい音域(250~1000Hz帯)での遮音効果が高いです。これにより、室内に雨音が響きにくく、静かな環境を保つことができます。さらに、高性能でありながら比較的安価で、メンテナンス時の交換もしやすい点が多くの工場や倉庫で採用される理由の一つです。
スレート屋根のデメリット
スレート屋根のデメリットとしては、耐用年数が他の屋根材と比較して短い傾向があることが挙げられます。製品によって異なりますが、一般的に20〜30年程度とされており、定期的なメンテナンスが必要です。特に塗装は、防水性を維持し、ひび割れや欠けを防ぐために重要で、10〜15年を目安に行う必要があります。 また、表面が凹凸になっているため汚れが溜まりやすく、美観を損ねるだけでなく、苔やカビの発生につながることもあります。 定期的な塗装や清掃などのメンテナンスが不可欠となります。
折板屋根のメリット・デメリット
折板屋根のメリット・デメリットを解説します。
折板屋根のメリット
折板屋根のメリットは、その構造による高い強度と軽量性です。金属板を折り曲げた形状が強度を高め、建物への負担を軽減することで耐震性の向上も期待できます。また、下地材が不要な工法のため、比較的短い工期で施工できます。加えて、金属製のため耐火性が高い点もメリットとして挙げられます。これらの特性から、工場や倉庫などの大規模建築物に適しています。
折板屋根のデメリット
折板屋根にはいくつかのデメリットがあります。まず、金属製であるため断熱性が低い点が挙げられます。これにより、夏場は室内の温度が上昇しやすく、冬場は寒さを感じやすくなります。また、金属は錆びやすいため、錆の発生を放置すると穴が開いて雨漏りにつながる可能性があります。特にボルト部分は錆びやすい傾向にあります。定期的な塗装によるメンテナンスで錆の発生を抑制し、屋根の寿命を延ばすことが重要です。さらに、金属屋根は雨音が室内に響きやすいという欠点もあります。
瓦棒屋根のメリット・デメリット
瓦棒屋根のメリット・デメリットは以下の通りです。
瓦棒屋根のメリット
瓦棒屋根のメリットは、まず軽量である点が挙げられます。金属製の屋根材を使用するため、建物にかかる負担が少なく、耐震性の向上につながります。また、比較的安価に施工できる点も大きな利点です。材料費が抑えられることに加え、施工方法がシンプルであるため工期も短縮しやすく、コストを抑えた施工が可能です。さらに、緩やかな勾配の屋根にも対応できる排水性の高さもメリットの一つです。
瓦棒屋根のデメリット
瓦棒屋根は金属製の屋根材を使用するため、遮音性が低いというデメリットがあります。雨音などが室内に響きやすく、音に敏感な場合は対策が必要になります。また、金属は熱伝導率が高いため、断熱性も低い傾向にあります。夏場は熱が伝わりやすく室温が上昇し、冬場は外気の冷たさが伝わりやすいです。快適な室内環境を保つためには、適切な断熱材の使用が重要となります。さらに、瓦棒内部の木材が湿気を吸って腐食する可能性があり、これが屋根全体の劣化や雨漏りにつながることもあります。腐食が進むと強風で屋根材が剥がれる危険性も考えられます。このため、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。近年では、瓦棒を使用しない立平葺きという工法も普及しており、瓦棒屋根のデメリットを克服した選択肢として注目されています。
工場・倉庫の屋根のメンテナンス時期
工場や倉庫の屋根は、経年劣化や外的要因により徐々に傷んでいきます。適切な時期にメンテナンスを行うことは、建物の寿命を延ばし、安全性を保つために非常に重要です。ここでは、工場・倉庫の屋根の一般的なメンテナンス時期について解説します。早めに劣化の兆候に気づくことで、大規模な修繕が必要になる前の段階で対処できる可能性が高まります。
屋根材別の耐用年数とメンテナンス時期
工場や倉庫に使用される主な屋根材の耐用年数とメンテナンス時期は以下の通りです。波型スレートの耐用年数は20~30年で、10年ごとの塗装メンテナンスが推奨されます。折板屋根は使用される素材により異なりますが、一般的に30~35年程度の耐用年数が期待でき、錆止めなどの定期的な塗装メンテナンスが重要です。瓦棒屋根は金属板の種類によって耐用年数が異なり、トタンは20年程度、ガルバリウム鋼板は25~30年程度が目安とされています。芯木の腐食を防ぐためにも定期的な点検が必要です。これらの耐用年数はあくまで目安であり、建物の環境や使用状況によって変動するため、専門家による定期的な点検をおすすめします。
適切な屋根材を選ぶためのポイント
工場や倉庫の屋根材を選ぶ際には、屋根の種類や屋根の形を考慮することが重要です。まず、使用目的や環境条件に適した屋根材を見極める必要があります。
例えば、波型スレート屋根はセメント製で、耐久性や遮熱性に優れていますが、汚れやすいという側面もあります。一方、折板屋根や瓦棒屋根は金属製で軽量かつコストパフォーマンスが良いですが、遮熱性や遮音性には注意が必要です。
また、屋根の形状も重要な要素です。平らな屋根と傾斜のある屋根では、雨水の排水性やメンテナンスの手間が異なります。これらのポイントを踏まえ、自分の施設にとって最適な屋根材を選択することが求められます。
倉庫・工場の屋根補修の方法と費用相場
工場や倉庫の屋根補修方法は、劣化の状況や屋根材の種類によって様々です。
費用相場は補修方法によって大きく異なります。部分補修は比較的安価ですが正確な費用を知るためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。
屋根補修の方法
屋根補修の方法を詳しく解説します。
ガルバリウム鋼板の屋根
工場や倉庫の屋根改修方法の一つに、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて葺くカバー工法があります。このカバー工法で多く採用されているのがガルバリウム鋼板の屋根です。ガルバリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛を合金化させた鋼板で、従来のトタンと比較して耐食性が大幅に向上しています。軽量であるため、建物への負担を軽減できるという特長もあります。ガルバリウム鋼板は耐久性に優れており、雨風や錆に強く、長期間にわたって屋根を保護することが期待できます。
屋根カバー工法(重ね葺き)
屋根カバー工法は、既存の古い屋根の上に新しい軽量の金属屋根を重ねて施工する方法です。この工法は「重ね葺き」とも呼ばれています。既存の屋根材を撤去・処分する必要がないため、費用や工期を抑えることができる点が大きな特長です。雨漏り解消にも効果が期待でき、特に折板屋根を使用して仕上げられることが多いです。工期は屋根面積約200㎡の場合、2週間程度が目安となります。カバー工法は、比較的状態の良い屋根に適した工法です。
屋根張替
屋根張替工法は、既存の古い屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に張り替える工事です。カバー工法とは異なり、屋根を一度取り外すため、屋根下地部分へのホコリや破片の落下、雨天時の雨水浸入などのリスクが伴います。特に波型スレート屋根の場合、アスベストが飛散する危険性も考慮し、養生や安全対策、工程管理を徹底する必要があります。この工法はカバー工法よりも費用が高額になる傾向があります。
屋根塗装
工場や倉庫の屋根塗装は、美観を保つだけでなく、建物の機能を維持し寿命を延ばすために重要です。特に金属屋根は錆の発生を防ぐための定期的な塗装が推奨されます。塗装により、防水効果や遮熱効果を高めることも可能です。劣化した屋根材への塗装は、ひび割れや雨漏りを防ぐ効果も期待できます。
屋根補修の費用相場
工場や倉庫の屋根補修にかかる費用は、屋根材の種類や劣化状況、補修方法によって大きく変動します。例えば、波型スレートの部分補修は約5,000円/㎡から、塗装は約5,000円~8,000円/㎡が目安です。カバー工法の場合は、波型スレートで約8,000円~10,000円/㎡、折板屋根で約5,000円~8,000円/㎡が相場とされています。葺き替えとなると費用はさらに上がり、波型スレートから折板屋根への葺き替えで100万円~200万円程度かかる場合もあります。これらの費用はあくまで目安であり、足場の設置費用や屋根の面積、形状、断熱性能の向上なども費用に影響します。
まとめ:工場・倉庫の屋根材選びの重要性
工場や倉庫の屋根材選びは、施設の機能や安全性に大きく影響します。異なる屋根材には各々の特性があり、使用される環境や求められる性能に応じて選択することが重要です。たとえば、耐久性や耐火性に優れたスレート屋根や折板屋根のように、目的に応じて実績のある材料を選ぶことで、長期的な運用コストを抑えることが可能です。これらの屋根材は、構造の安定性にも寄与し、事業継続に大きな影響を与えます。
また、屋根の状態が悪化すると、修繕や補修が必要になるため、その選定は経済的な視点からも重要です。適切な屋根材を選ぶことで、建物全体の状態を維持し、安定した業務運営を支える基盤を築くことができます。このように、工場や倉庫における屋根材の選定は、多方面にわたって重要な役割を果たしています。
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