倉庫とは?物置とは?屋根の種類など違いをまとめてみました!

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倉庫と物置は、どちらも物を保管する建物ですが、その規模や法律上の扱いは大きく異なります。 特に事業で利用する建物を検討する際には、建築基準法などの規制を正しく理解することが不可欠です。
この記事では、倉庫と物置の基本的な違いから、工場や倉庫で一般的に使用される屋根の種類、それぞれの特徴、そして適切なメンテナンス方法に至るまで、専門的な観点から分かりやすく解説します。
物置と倉庫の違い、知っていますか?
物置と倉庫の最も大きな違いは、建築基準法における「特殊建築物」に該当するかどうかです。 倉庫業を営むための倉庫など、一定の規模や用途を持つ建物は特殊建築物に分類され、建設の際には建築確認申請が不可欠です。 これにより、建物の構造耐力や防火性能、避難経路の確保など、厳しい安全基準を満たすことが法的に義務付けられます。
一方で、物置は一般的に小規模で、これらの規制の対象外となる場合があります。 この法的な区別が、設計の自由度や建設コストに直接的な影響を及ぼします。
物置とは?
一般的に「物置」と呼ばれるものは、家庭用の小規模な収納スペースを指すことが多いです。 建築基準法上では、防火地域・準防火地域外に設置するもので、床面積が10平方メートル以内、かつ高さなどの一定条件を満たす場合、建築確認申請が不要な「小規模な倉庫」として扱われることがあります。
あくまで物品を収納することを主目的としており、人が内部で継続して作業を行うことは想定されていません。 そのため、事業用途で物品を保管・管理する建物としては、規模や構造の面で不十分な場合がほとんどです。
倉庫とは?
倉庫は、物品を安全に貯蔵・保管することを目的とした建物であり、建築基準法においては「特殊建築物」の一つとして定義されています。 このため、建物の規模や構造、用途地域によっては、建築確認申請の手続きが必須となり、構造耐力や防火、避難に関する厳しい法規制を遵守して設計・建築しなければなりません。
事業活動の拠点として、フォークリフトなどの重機が走行したり、多くの作業員が活動したりすることを前提とした、高い安全性と機能性を備えた堅牢な構造が求められます。
営業倉庫と自家倉庫
倉庫は、その利用目的によって「営業倉庫」と「自家倉庫」の二つに大別されます。 営業倉庫とは、倉庫業法に基づき、他人の物品を預かることで対価を得る事業のための施設です。 この場合、国土交通大臣への登録が必要となり、施設の防火性能や耐震性、防犯設備などに関して非常に厳しい基準が課せられます。
一方、自家倉庫は、企業が自社の製品や資材などを保管するために使用する倉庫を指します。 こちらは倉庫業法の登録は不要ですが、建築基準法や消防法などの関連法規を遵守する必要がある点は営業倉庫と同様です。
本格的な倉庫を建てる場合に注意すべきこと
本格的な倉庫を建設する際には、いくつかの重要な点に注意が必要です。 まず、建築基準法や消防法といった関連法規を遵守することは絶対条件です。 特に、建設予定地がどの「用途地域」に指定されているかによって、建てられる建物の種類や規模が厳しく制限されるため、事前の確認が不可欠です。
また、保管する物品の重量に耐えうる地盤の強度調査や、大型車両の搬入・搬出をスムーズに行うための動線確保も計画段階で入念に検討する必要があります。 これらの要素を総合的に考慮し、安全性と効率性を両立させた設計を行うことが求められます。
工場や倉庫で使われる代表的な屋根の種類と名称
工場や倉庫の屋根は、建物の規模、用途、立地環境、コストなどを総合的に考慮して選定されます。 採用される屋根材や工法は、建物の耐久性や防水性、断熱性に直結する重要な要素です。 代表的な種類としては、古くから多くの建物で採用されてきた「波型スレート屋根」、大規模な建物の定番である「折板屋根」、屋上スペースを有効活用できる「陸屋根」、そして近年注目されている「立平葺き」などが挙げられます。
それぞれの特徴を理解し、目的に合った屋根を選ぶことが大切です。 以下で、それぞれの詳細を解説します。
波型スレート屋根
波型スレート屋根は、セメントに繊維材料を混ぜて強度を高め、波型に成形した屋根材です。 かつては石綿(アスベスト)が含まれていましたが、現在製造されているものは無石綿(ノンアスベスト)です。 耐久性や耐火性に優れており、比較的コストを抑えられることから、古くから多くの工場や倉庫で採用されてきました。
断面の波の大きさによって大波スレートと小波スレートに分類され、主に大規模な建物の屋根には大波スレートが使用されます。 重量があるため、建物の構造設計には注意が必要です。
折板(せっぱん)屋根
折板屋根は、ガルバリウム鋼板などの金属板を、断面が台形やV字型になるように折り曲げ加工を施した屋根材です。 この折り曲げ構造により、薄い金属板でありながら高い強度と剛性を実現しています。 軽量で耐震性に優れ、長尺での施工が可能なため、工場や体育館といった柱の少ない広大な空間(無柱空間)を持つ建物の屋根に最適です。
防水性も高い一方で、金属製であるため断熱性や遮音性は低い傾向にあり、断熱材と一体化した製品を使用するなどの対策が講じられることもあります。
陸屋根(ろくやね)
陸屋根は、「ろくやね」または「りくやね」と読み、勾配のないフラットな形状の屋根を指します。 傾斜がないため、屋根面にはアスファルト防水やシート防水、塗膜防水といった方法で防水層を形成し、雨水の浸入を防ぎます。 最大の利点は、屋上スペースを有効活用できる点にあり、空調設備の室外機や太陽光発電パネルの設置場所、あるいは緑化スペースとして利用されるケースが多いです。
ただし、雨水が溜まりやすいため、防水層の劣化管理や定期的なメンテナンスが他の屋根形状以上に重要となります。
立平葺き(たてひらぶき)
立平葺きは、ガルバリウム鋼板などの金属製屋根材を、屋根の頂点である棟から軒先に向かって縦方向に配置していく工法です。 屋根材同士のつなぎ目は、馳と呼ばれる折り曲げ加工によって固定するため、ビスが表面に露出せず、雨水の浸入リスクが低いという特徴があります。
シンプルな構造で施工性に優れ、雨仕舞いが良いため緩やかな勾配の屋根にも対応可能です。 そのすっきりとした意匠から、近年ではデザイン性を重視する倉庫や店舗などでも採用される事例が増えています。
【種類別】工場・倉庫の屋根のメリット・デメリット
工場や倉庫の屋根材を選ぶ際には、それぞれの種類が持つメリットとデメリットを正確に把握することが極めて重要です。 初期費用だけでなく、耐久性、メンテナンスの頻度やコスト、断熱性などの機能面も考慮し、総合的に判断する必要があります。
自社の事業内容や建物の用途、将来的な運用計画に照らし合わせ、最適な屋根材を選択することで、長期的なコスト削減と建物の資産価値維持につながります。 ここでは、代表的な4種類の屋根について、その長所と短所を具体的に比較します。
波型スレート屋根のメリット・デメリット
波型スレート屋根の主なメリットは、耐火性に優れている点と、他の屋根材と比較して材料費が安価なことです。 一方、デメリットとしては、素材自体が重いため建物構造への負担が大きく、耐震性の観点では不利になる場合があります。 また、経年劣化により素材の柔軟性が失われ、衝撃でひび割れや欠けが生じやすくなります。
特に注意が必要なのは、古いスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性がある点です。 その場合、改修や解体時には専門的な飛散防止対策が求められ、撤去・処分費用が高額になります。
折板屋根のメリット・デメリット
折板屋根のメリットは、その軽量さにあります。 建物への負担が少なく、耐震性に貢献します。 また、強度が高いため、柱の間隔を広く取ることができ、広大な内部空間を確保しやすい点も大きな利点です。
一方でデメリットは、金属板であるため断熱性が低く、夏場には太陽の熱で屋根表面が高温になり、室内の温度が上昇しやすいことです。 また、雨音が直接響きやすいという遮音性の課題もあります。 これらの弱点を補うため、断熱材を裏打ちしたタイプを選んだり、遮熱塗料を塗布したりするなどの対策が有効です。
陸屋根のメリット・デメリット
陸屋根の最大のメリットは、屋上を有効活用できる点です。 空調の室外機やキュービクルといった大型設備を設置したり、太陽光パネルを並べて自家発電を行ったりと、スペースを多目的に利用できます。
しかし、デメリットとして、屋根に勾配がないため水はけが悪く、雨漏りのリスクが他の屋根形状に比べて高いことが挙げられます。 そのため、防水層の性能が建物の寿命を大きく左右し、定期的な点検やトップコートの塗り替え、防水層の再施工といったメンテナンスが不可欠となり、維持管理コストがかかります。
立平葺きのメリット・デメリット
立平葺きのメリットは、雨漏りに対する信頼性が高いことです。 屋根材の接合部にビスが露出しない構造のため、雨水の浸入経路が少なくなります。 また、軽量で耐震性に優れ、シンプルな構造から施工もスピーディーに行えます。
一方、デメリットとしては、折板屋根と同様に金属材であるため、断熱性や遮音性の面では課題が残ります。 表面が比較的フラットなため、飛来物などによる衝撃で凹みが生じると目立ちやすいという側面もあります。 断熱性能を補うために、屋根下に断熱材を敷き込むなどの対策が一般的です。
工場・倉庫の屋根をメンテナンス・改修するタイミング
工場や倉庫の屋根は、常に紫外線や風雨に晒されており、時間と共に確実に劣化が進行します。 この劣化を放置すると、雨漏りを引き起こし、保管している製品や高価な機械設備に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
さらに、建物の構造躯体にまでダメージが及ぶと、大規模な修繕が必要となり、事業活動の停止にもつながりかねません。 そうなる前に、屋根の状態を定期的に確認し、適切なタイミングでメンテナンスや改修を行うことが、建物の資産価値を維持する上で非常に重要です。
劣化のサインをチェックする
屋根の劣化は、専門家でなくても確認できるサインとして現れることがあります。 例えば、金属屋根であれば、塗膜の色褪せや剥がれ、サビの発生、固定ボルトの腐食などが挙げられます。 波型スレート屋根の場合は、ひび割れやカビ・コケの繁殖が注意すべき兆候です。
また、天井に雨染みができていたり、実際に雨漏りが発生していたりする場合は、すでに防水機能が著しく低下している証拠であり、早急な対応が必要です。 これらのサインを見逃さず、異常を発見した際には速やかに専門業者による詳細な診断を依頼することが賢明です。
屋根材の耐用年数を目安にする
屋根のメンテナンス計画を立てる上で、使用されている屋根材の一般的な耐用年数を把握しておくことは有効です。 例えば、ガルバリウム鋼板製の折板屋根や立平葺きの場合、塗膜のメンテナンス時期は10〜20年、屋根材自体の寿命は25〜40年程度が目安とされます。
波型スレートは20〜30年、陸屋根の防水層は工法にもよりますが10〜20年で大規模な改修が必要になることが多いです。 ただし、これらの年数はあくまで目安であり、塩害のある沿岸部や積雪量の多い地域など、立地環境によって劣化の進行速度は大きく異なるため注意が必要です。
工場・倉庫の屋根の主な改修方法
工場や倉庫の屋根に劣化が見られ、改修が必要と判断された場合、その方法にはいくつかの選択肢があります。 代表的なものとして、既存の屋根の上に新しい屋根を重ねる「カバー工法」、既存の屋根を一度すべて撤去してから新しく葺き直す「葺き替え工法」、そして屋根の表面を塗料で保護する「屋根塗装」が挙げられます。
どの工法を選択するかは、既存屋根の劣化状況、下地の状態、アスベスト含有の有無、そして予算や工期などを総合的に勘案して決定する必要があります。
カバー工法(重ね葺き)
カバー工法は、既存の屋根材を撤去することなく、その上から防水シートを敷き、新しい軽量な金属屋根材などを被せて固定する改修方法です。 最大のメリットは、解体作業が不要なため、工期を短縮でき、アスベスト含有屋根材の処理費用などを含む廃材処分費を大幅に削減できる点にあります。
また、屋根が二重構造になることで、断熱性や遮音性が向上するという副次的な効果も期待できます。 ただし、既存屋根の下地の劣化が著しい場合や、建物の構造上、屋根の重量増加が許容できない場合にはこの工法を採用できません。
葺き替え工法
葺き替え工法は、既存の屋根材をすべて解体・撤去し、屋根の下地から新しく作り直す方法です。 下地材の腐食や損傷といった、屋根の根本的な問題を解決できるのが最大の利点です。 下地の状態を直接確認し、必要に応じて補修や交換を行えるため、建物の耐久性や防水性を大幅に向上させることが可能です。
アスベストを含んだスレート屋根を安全に撤去したい場合にも、この工法が選択されます。 一方で、解体費用や廃材処分費が発生するため、カバー工法に比べてコストが高くなり、工期も長くなる傾向があります。
屋根塗装
屋根塗装は、屋根材の表面に新たな塗膜を形成することで、防水機能の回復と美観の維持を図るメンテナンス方法です。 屋根材自体の劣化が比較的軽微で、主に表面の塗膜が色褪せたり剥がれたりしている場合に有効な手段となります。 特に金属屋根の場合、定期的な塗装はサビの発生を防ぎ、屋根材の寿命を延ばす上で効果的です。
また、太陽光を反射する遮熱塗料を使用すれば、屋根表面の温度上昇を抑制し、夏場の室内環境改善や空調コストの削減にも貢献します。 ただし、屋根材にひび割れや欠損がある場合は、塗装だけでは根本的な解決にはなりません。
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許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
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