工場の地震対策マニュアル|安全な避難方法と初動対応のポイント

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大規模な地震は、いつどこで発生するか予測できません。 特に、多くの従業員が働き、大型機械や危険物を扱うこともある工場では、地震発生時の適切な初動対応が、人命の確保と被害の最小化に直結します。

この記事では、工場の経営者や防災担当者向けに、実効性の高い地震対策マニュアルの作成ポイント、地震発生後の具体的な行動手順、そしてマニュアルを形骸化させないための運用方法について解説します。

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※1 理想科学工業㈱霞ヶ浦工場の実例を元に、イメージ表示し得られたデータを元に室内空間の温度上昇を抑制することから、空調設備の温度を上げることで電気代等の削減が期待できます。
※2 クールサーム®の実証実験にて10年以上の耐久性を確認しています。詳しくは弊社スタッフまでお問い合わせください

この記事の監修者

株式会社澤村(SAWAMURA)

山々に囲まれ、琵琶湖を臨む滋賀県高島市。
株式会社澤村は1950年の創業以来、地域とともに歩みながら、信頼・実績・技術を受け継いできました。
現在、フィールドは滋賀・京都・福井まで広がり、130名を超えるスタッフと共に、設計・施工の一貫体制でお客さまのご要望にお応えしています。
本コラムは株式会社澤村が運営する工場建築・倉庫建築に関するお役立ちコラムです。

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工場で地震対策マニュアルが不可欠な理由

工場において地震対策マニュアルが不可欠なのは、従業員の生命を守り、二次災害を防ぎ、事業の早期復旧を目指すためです。 工場には大型機械や高圧ガス、化学薬品といった特有の危険要因が多数存在し、地震の揺れによってこれらが転倒、破損、漏洩することで火災や爆発、有毒ガスの発生といった二次災害を引き起こすリスクがあります。

マニュアルは、こうした事態を想定し、地震発生直後から避難、安否確認に至るまで、従業員がパニックに陥らず、冷静かつ迅速に行動するための具体的な指針となります。 明確な手順を定めておくことで、被害を最小限に食い止め、ひいては事業継続性の確保にも貢献します。

地震対策マニュアルを作成する前の3つの準備

実効性のある地震対策マニュアルを作成するには、事前の準備が極めて重要です。 まず、自社の工場に潜むリスクを正確に洗い出し、安全な場所を特定することから始めます。 次に、いざという時に誰が何をするのかという役割分担を明確にし、迅速な情報共有を可能にする体制を構築しなければなりません。

さらに、従業員の安全確保や応急措置に必要となる物資をリストアップし、計画的に備蓄しておくことも不可欠です。 これらの準備を徹底することが、マニュアルを単なる書類で終わらせず、実践的な行動計画とするための第一歩となります。

工場の危険箇所と安全な場所をハザードマップで把握する

マニュアル作成の基礎として、まず工場内のハザードマップを作成し、危険箇所と安全な場所を全従業員が視覚的に理解できるようにします。 危険箇所には、地震の揺れで転倒の恐れがある大型の機械や棚、化学薬品や高圧ガスボンベの保管場所、ガラスが多く使用されているエリアなどが挙げられます。 これらの場所をマップ上に明記し、注意を促します。

一方で、構造的に堅牢で落下物が少ない場所を安全な場所として特定し、一次的な避難スペースとして指定します。 このハザードマップを基に、最も安全で効率的な避難経路を設定し、マニュアルに具体的に落とし込むことで、緊急時の迅速な行動を支援します。

従業員の役割分担と緊急連絡網を整備する

地震発生時の混乱を最小限に抑えるためには、従業員一人ひとりの役割をあらかじめ明確に定めておくことが不可欠です。 情報収集・伝達、避難誘導、初期消火、設備の緊急停止、救護といった具体的な役割ごとに担当者を決め、指揮命令系統を確立します。 班長やリーダーを複数人決めておくと、誰かが不在の場合でも機能します。

同時に、全従業員の安否を迅速に確認するための緊急連絡網の整備も欠かせません。 電話、メール、ビジネスチャット、SNSなど複数の連絡手段を確保し、連絡先リストは常に最新の状態に保つとともに、定期的なテストで確実に機能するかを確認しておく必要があります。

必要な防災グッズと備蓄品のリストを作成する

従業員の安全確保と避難生活に備え、必要な防災グッズと備蓄品のリストを作成し、計画的に準備を進めます。 水や食料、簡易トイレ、救急用品といった基本的な備蓄品に加えて、工場ならではのアイテムもリストに含めます。 例えば、粉塵や有害物質から身を守るための防塵マスクや保護メガネ、瓦礫の撤去や救助活動に用いるヘルメット、厚手のゴム手袋、バールなどが挙げられます。

また、停電に備えた非常用電源、懐中電灯、予備の電池、情報収集のためのラジオも必須です。 これらの備蓄品は、すぐに取り出せる場所に分散して保管し、定期的に使用期限の確認や入れ替えを行う体制を整えます。

【時系列】マニュアルに記載すべき地震発生後の具体的な行動

地震対策マニュアルには、パニック状態でも誰もが冷静に行動できるよう、時系列に沿った具体的な行動手順を明記することが重要です。 地震が発生した瞬間から、揺れが収まった直後、避難を開始する時、そして避難を完了した後まで、それぞれのフェーズで「誰が」「何を」「どのように」行うべきかを具体的に記述します。

この時間軸に沿った行動計画は、従業員が次に取るべきアクションを明確にし、混乱を防ぎながら安全確保と被害抑制を確実に行うための道しるべとなります。

地震発生直後:まず従業員の身の安全を最優先で確保する

地震の強い揺れを感じたら、何よりもまず自身の身の安全を確保する行動を取ります。 作業中の場合は直ちに機械から離れ、丈夫な机や作業台の下に潜り込み、頭部を保護します。 周囲に身を隠す場所がない場合は、落下物や転倒物のない工場の中心部付近で姿勢を低くし、頭を守ります。 ガラス窓や危険物保管庫、背の高い棚などからは速やかに離れなければなりません。

この段階では、慌てて屋外へ飛び出すことは、かえって落下物による危険を高める可能性があります。 まずはその場で揺れが収まるのを待ち、冷静に状況を判断することが求められます。 この基本行動をマニュアルの最優先事項として記載し、周知徹底を図ります。

揺れが収まった直後:設備の緊急停止と火の元の確認を行う

大きな揺れが収まった直後は、二次災害の発生を防ぐための行動が最優先となります。 あらかじめ定められた担当者は、自身の安全を確保した上で、手順に従って生産ラインや各種設備の緊急停止操作を実施します。 特に、ボイラーや加熱炉、高圧電流を使用する設備など、火災や爆発の原因となりうる機器の停止は迅速に行わなければなりません。

同時に、火元となりうる場所の確認を行い、万が一火災が発生した場合は、初期消火活動に移ります。 これらの操作は危険を伴うため、担当者以外の従業員はむやみに近づかず、避難準備を進めることが重要です。 マニュアルには、対象設備と停止手順、担当者を明確に記載します。

避難開始時:定められた避難経路を通り、安全に移動する

避難指示が出たら、事前にハザードマップで定められた安全な避難経路を通って、指定された避難場所へ速やかに移動を開始します。 避難する際は、「押さない、駆けない、喋らない」の原則を守り、冷静に行動します。

通路には機械の転倒や部品の落下など、障害物が散乱している可能性があるため、足元や頭上に十分注意を払う必要があります。 特に、薬品の漏洩や火災が発生している箇所は避け、避難誘導係の指示に確実にしたがいます。 エレベーターは使用せず、必ず階段を使います。 ヘルメットを着用し、軍手などで手を保護しながら、煙が発生している場合は姿勢を低くして口や鼻をハンカチで覆うなど、状況に応じた安全確保が求められます。

避難完了後:従業員の安否確認と被害状況の報告を行う

指定された避難場所に到着したら、速やかに従業員の安否確認を行います。 各部署のリーダーや班長は、自身の管理する従業員の点呼を取り、人数を確認して対策本部に報告します。 もし行方不明者がいる場合は、その情報を直ちに共有し、二次災害の危険がない範囲で捜索活動の準備に入ります。

安否確認と並行して、建物の損傷具合、設備の破損状況、危険物の漏洩の有無など、工場全体の被害状況を把握するための情報収集を開始します。 収集した情報は対策本部に集約し、消防などの関係機関への通報や、今後の対応方針を決定するための基礎情報とします。 この報告体制もマニュアルで明確に定めておきます。

マニュアルの実効性を高めるための運用と見直しのポイント

地震対策マニュアルは、作成して書棚に保管しておくだけでは意味がありません。 いざという時に本当に役立つものにするためには、日頃からの運用と定期的な見直しが不可欠です。

定期的な防災訓練を通じて全従業員に内容を浸透させるとともに、訓練を通じて明らかになった課題や問題点をマニュアルにフィードバックし、継続的に改善していくサイクルを確立させることが、マニュアルの実効性を高める上で極めて重要となります。

定期的な防災訓練でマニュアルの内容を従業員に周知する

マニュアルに書かれた手順は、実際に体を動かして初めて身につきます。 そのため、定期的に防災訓練を実施し、マニュアルの内容を全従業員に周知徹底させることが不可欠です。

訓練では、地震発生の合図から、身の安全確保、設備の緊急停止、避難経路の確認、避難場所での点呼といった一連の流れをシミュレーションします。 役割分担に基づき、情報伝達係や避難誘導係などが実際に動いてみることで、手順の確認だけでなく、連携上の問題点も明らかになります。 こうした実践的な訓練を繰り返すことで、従業員一人ひとりが緊急時に何をすべきかを理解し、落ち着いて行動できるようになります。

訓練で見つかった課題を反映し、マニュアルを継続的に改善する

防災訓練は、マニュアルの実効性を検証する絶好の機会です。 訓練終了後には必ず振り返りの時間を設け、参加者から意見や感想を収集します。 想定していた避難経路が障害物で通れなかった情報伝達がスムーズにいかなかったマニュアルの指示が分かりにくかったなど、訓練で見つかった課題や問題点を洗い出します。

そして、それらの課題を解決するために、マニュアルの記述を修正したり、役割分担や連絡網を見直したりします。 このように、訓練のサイクルを回し、常に現状に即した内容にアップデートし続けることが、マニュアルを形骸化させず、生きた防災計画として機能させるための鍵となります。

よくある質問

ここでは、工場の地震対策マニュアルに関して、経営者や防災担当者の方々から頻繁に寄せられる質問について回答します。 マニュアルの見直し頻度や、混同されがちなBCP(事業継続計画)との違い、そして多様化する従業員構成に合わせた配慮点など、より実践的な運用を目指す上での疑問点を解消し、具体的なマニュアル作成と改善活動の参考にしてください。

地震対策マニュアルはどのくらいの頻度で見直せば良いですか?

地震対策マニュアルは、少なくとも年に1回の頻度で定期的に見直すことが推奨されます。 設備のレイアウト変更、新しい機械の導入、生産プロセスの変更、従業員の異動や組織改編など、工場内の状況に変化があった場合は、その都度速やかに内容を更新する必要があります。

また、防災訓練を実施した結果、課題や改善点が見つかった場合も、見直しの良い機会です。 災害関連法の改正や、近隣で発生した災害の教訓なども参考にしながら、常に最新かつ最も実用的な状態を維持するよう努めることが、マニュアルの実効性を保つ上で重要です。

地震対策マニュアルとBCP(事業継続計画)の違いは何ですか?

地震対策マニュアルとBCP(事業継続計画)は密接に関連しますが、目的と焦点が異なります。 地震対策マニュアルは、災害発生直後における従業員の安全確保、二次災害の防止、避難といった「初動対応」に特化した手順書です。 その主目的は人命保護にあります。

一方、BCPは、災害後も事業を停止させない、あるいは早期に復旧させるために、代替生産拠点や資金繰り、サプライチェーンの確保といった経営的な視点を含む、より広範で長期的な計画を指します。 つまり、地震対策マニュアルは、BCPを発動させる前段階の、最も重要な初動フェーズを担う計画と位置づけられます。

外国人従業員がいる場合、マニュアル作成で配慮すべき点はありますか?

外国人従業員が在籍する場合、マニュアルが全ての従業員に正しく理解されるための配慮が不可欠です。 まず、マニュアルを複数の言語に翻訳することが基本となります。 言語の翻訳だけでなく、文化的な背景の違いを考慮し、誰にでも分かりやすいように、専門用語を避け、イラストや図記号(ピクトグラム)を多用することが有効です。

また、漢字にふりがなを振ったり、平易な表現を用いた「やさしい日本語」版を作成したりするのも良い方法です。 防災訓練の際にも、通訳を介した説明や、視覚的な指示を取り入れるなど、言語の壁を越えて情報が伝わる工夫が求められます。

まとめ

工場における地震対策は、従業員の生命と企業の資産を守るための根幹的な取り組みです。 実効性のあるマニュアルを整備するには、まずハザードマップの作成や役割分担、備蓄品の準備といった事前段階が欠かせません。

その上で、地震発生直後から避難完了後までの行動を時系列で具体的に定め、全ての従業員が理解できる内容にする必要があります。 そして最も重要なのは、作成したマニュアルを定期的な訓練によって検証し、見つかった課題を反映させて継続的に改善していく運用体制を構築することです。 この一連のプロセスが、万が一の事態に備えるための強固な基盤を形成します。

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※1 理想科学工業㈱霞ヶ浦工場の実例を元に、イメージ表示し得られたデータを元に室内空間の温度上昇を抑制することから、空調設備の温度を上げることで電気代等の削減が期待できます。
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SAWAMURAについて

1950年の創業以来、地域に貢献すること、お客様の事業の発展に寄与することを目標に
さまざまな建築物を竣工してきました。1998年よりシステム建築事業をスタート。
豊富な経験と実績をもとに、さまざまなご要望にお応えします。

関西No.1のシステム建築実績。
積み重ねた施工実績とノウハウで、
確かな精度を保証します。

2020年
関西ブロック優秀ビルダー賞1位
2019年
関西ブロック優秀ビルダー賞3位
関西ブロック年間販売実績 第1位 5年連続受注賞
アティブビルダー銀賞受賞
2018年
関西ブロック年間販売実績 第3位 5年連続受注賞
アクティブビルダー銅賞受賞
2017年
アクティブビルダー銅賞受賞
2016年
アクティブビルダー銅賞受賞
2015年
アクティブビルダー 銅賞受賞
2012年
連続販売年数15年達成
2013年
15年連続受注賞
2008年
10年連続受注賞 2005年 5年連続受注賞
2004年
優秀ビルディング

資格所有者

  • 一級建築士 13人
    二級建築士 41人
    一級建築施工管理技士 29人
    一級土木施工管理技士 10人
  • 宅地建物取引士 19人
    設備設計一級建築士 1人
    土地家屋調査士 1人
    一級建設業経理士 2人
    中小企業診断士 1人​

会社概要

社名 株式会社澤村
本社 〒520-1121 滋賀県高島市勝野1108番地3
TEL. 0740-36-0130(代)
FAX. 0740-36-1661
大津オフィス 〒520-0242 滋賀県大津市本堅田三丁目33-16 エルミナ リアン 2F
TEL. 077-572-3879
FAX. 077-573-8384
敦賀オフィス 〒914-0811 福井県敦賀市中央町一丁目8-10
TEL. 0770-22-6005
FAX. 0770-47-6405
資材センター 滋賀県高島市勝野873-1
創業 昭和25年12月6日
資本金 50,000,000円(グループ全体)
従業員数 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在
売上高 63億円(グループ全体)※2024年9月実績
営業種目 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用
許可・登録 〈建設業許可〉 
滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号
〈一級建築士事務所〉 
滋賀県知事登録(カ) 第126号
〈宅地建物取引業者〉 
滋賀県知事登録(12) 第1267号
取引銀行 滋賀銀行 高島支店
関西みらい銀行 安曇川支店
滋賀県信用組合 安曇川支店
関連会社 株式会社トータル・オーガニック・プランニング
沢村ホーム株式会社
関西No.1のシステム建築実績。

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