テント倉庫の耐用年数とは?国税庁の基準と減価償却、耐久性を解説

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テント倉庫の導入を検討する際、コストや工期と並んで重要な判断材料となるのが「耐用年数」です。 このテント倉庫の耐用年数には、国税庁が税務上の資産価値を計算するために定める「法定耐用年数」と、実際の使用環境やメンテナンスによって変わる「物理的な耐久性」という2つの異なる側面があります。
この2つの違いを正しく理解し、減価償却の仕組みや建物の寿命を考慮することが、適切な設備投資の判断に不可欠です。
テント倉庫における2種類の耐用年数を理解しよう
テント倉庫の耐用年数を考える上で、会計処理上の「法定耐用年数」と、実際の建物の寿命である「物理的な耐久年数」を区別して理解することが重要です。 前者は税法に基づいた形式的な年数であり、後者は設置環境や維持管理によって変動する実質的な寿命を指します。
この2つの意味を把握することで、減価償却による節税効果と、長期的な修繕計画を含めたトータルコストを見通した、より的確な投資判断が可能になります。
国税庁が定める「法定耐用年数」と減価償却の仕組み
法定耐用年数とは、国税庁が定める「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づき、資産を使用できる期間として法的に定められた年数のことです。 これは会計上の概念であり、実際の建物の寿命とは異なります。 テント倉庫の場合、骨組みに使用される鋼材の厚みによって耐用年数が区分されています。 例えば、骨格材の肉厚が3mm以下の場合は10年、3mm超4mm以下の場合は15年となります。
この法定耐用年数に基づき、取得にかかった費用を毎年分割して経費計上する会計処理が減価償却です。 この仕組みにより、単年度の利益を圧迫することなく、計画的な費用化が可能となります。
実際の使用で変わる「物理的な耐久年数」の目安
物理的な耐久年数とは、テント倉庫が建物として安全に使用できる実質的な寿命のことで、一般的には15年から20年程度が目安とされています。 ただし、この年数はあくまで目安であり、設置場所の環境やメンテナンスの状況によって大きく左右されます。 例えば、日当たりが強く紫外線の影響を受けやすい場所や、潮風にさらされる沿岸部では、シートや鉄骨の劣化が早く進む傾向にあります。
逆に、定期的な点検や補修を適切に行うことで、目安とされる年数以上に長く使用することも可能です。 耐久性を維持するためには、立地条件に応じた部材の選定と、計画的な維持管理が欠かせません。
テント倉庫の寿命を縮める主な環境要因
テント倉庫が持つ本来の耐久性を十分に発揮できるかどうかは、設置される環境に大きく依存します。 特に、日常的に受ける紫外線や雨風、沿岸部特有の塩害といった自然環境は、部材の劣化を促進させる大きな要因です。
これらの外部要因がテント倉庫にどのような影響を及ぼすかを事前に理解し、設計段階で対策を講じたり、定期的なメンテナンスに反映させたりすることが、建物の寿命を延ばし、長期的な安全性を確保する上で非常に重要です。
紫外線や雨風によるシート生地への影響
テント倉庫の屋根や外壁に使用されるシート生地は、常に紫外線や雨風にさらされるため、経年劣化が避けられません。 長期間にわたって強い紫外線を浴び続けると、シートの表面を保護しているコーティングが劣化し、生地が硬化して柔軟性を失います。 これにより、ひび割れや色褪せが生じ、シート自体の強度が低下してしまいます。
強度が落ちたシートは、台風などの強風によって破れやすくなるほか、ひび割れから雨漏りを引き起こす原因にもなります。 また、雨水やホコリなどの汚れが付着したまま放置されると、カビや苔が発生し、美観を損なうだけでなくシートの耐久性をさらに低下させる要因となります。
沿岸部における塩害が骨組みに与えるダメージ
海の近くにテント倉庫を設置する場合、潮風に含まれる塩分が鉄骨フレームに付着することで発生する「塩害」に注意が必要です。 塩分は鉄の酸化を促進するため、塗装の小さな傷やボルトの接合部などからサビを発生させます。 一度サビが発生すると、徐々に内部へと侵食し、鉄骨の断面積を減少させて強度を著しく低下させます。
この状態を放置すると、骨組みの耐久性が損なわれ、強風や積雪の際に倒壊する危険性も高まります。 そのため、沿岸地域で建設する際には、標準的な塗装仕様ではなく、サビに強い溶融亜鉛めっき処理などを施した骨組みを採用することが、長期的な耐久性を確保する上で極めて重要です。
他の建築工法とテント倉庫の耐用年数を比較
テント倉庫の耐用年数は、税法上、その構造や用途によって定められています。 例えば、骨格材の肉厚が4mmを超える金属製のテント倉庫は、露天式でない場合31年とされています。 これを他の建築工法と比較すると、在来工法である木造の事務所用建物は24年、鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所は50年です。
このように、テント倉庫の耐用年数は一般的な鉄骨造の倉庫などと比較して短く設定されている場合がありますが、これはあくまで税務上の数値です。 建築コストの低さや工期の短さといったメリットと、この減価償却期間を総合的に勘案し、事業計画に合わせた投資判断を行うことが求められます。
テント倉庫の耐用年数を延ばす定期メンテナンスのすすめ
テント倉庫の耐用年数を最大限に活用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。 税法上の法定耐用年数とは別に、建物の物理的な耐久性は日々の維持管理によって大きく変わります。 専門業者による本格的な点検はもちろん重要ですが、日常的に行える範囲での目視チェックなどを習慣化することで、劣化や不具合を早期に発見できます。
小さな問題のうちに対処しておくことが、結果的に大規模な修繕を防ぎ、テント倉庫を長期にわたって安全な状態に保つことにつながります。
シート生地の破れや汚れがないか目視で確認する
日常管理の基本は、シート部分の状態を目で見て確認することです。 特に、強風や飛来物によって生じる可能性のある破れや穴、生地同士を接合している部分の剥がれには注意が必要です。 ごく小さな損傷であっても、そこから雨水が浸入したり、風を受けて破損が拡大したりする恐れがあります。
また、鳥のフンや落ち葉といった汚れは、長期間放置するとシート表面のコーティングを傷め、劣化を促進させる原因になります。 汚れが目立つ場合は、柔らかい布やブラシを使って水洗いするなど、定期的に清掃することでシートの寿命を延ばすことができます。 特に雨水が溜まりやすい谷部分などは重点的に確認するとよいでしょう。
骨組みフレームのサビや変形をチェックする
テント倉庫の構造を支える骨組みフレームの点検も、安全性を維持する上で欠かせません。 チェックすべきポイントは、主にサビと変形です。 特に、部材の接合部分や塗装が剥がれた箇所はサビが発生しやすいため、重点的に確認します。 初期段階のサビであれば、ワイヤーブラシなどで除去した後にサビ止め塗料を塗布することで進行を抑制できます。
また、台風や大雪の後には、荷重によってフレームに歪みや曲がりなどの変形が生じていないかも確認が必要です。 構造体の変形は建物全体の強度に影響を及ぼすため、異常を発見した際は速やかに専門業者に相談し、適切な診断を受けることが耐久性を保つ上で重要になります。
出入口やシャッターの開閉に異常がないか点検する
倉庫の機能性を保つ上で、出入口やシャッターの円滑な動作は必須です。 日常業務のなかで、開閉時に異音がしないか、途中で引っかかるような動きがないかを確認する習慣をつけましょう。
特に電動シャッターの場合、動作不良を放置するとモーターに過度な負荷がかかり、故障の原因となります。 シャッターのガイドレールにゴミやホコリが溜まっているとスムーズな動きを妨げるため、定期的な清掃が効果的です。 また、可動部分への注油も部品の摩耗を防ぎ、耐久性を高める上で有効なメンテナンスです。 もし開閉に違和感を覚えた場合は、早めに専門業者に点検を依頼することが大きなトラブルの予防になります。
テント倉庫のシート張り替えを検討すべきタイミング
テント倉庫のシートは、紫外線や風雨にさらされることで徐々に劣化するため、いずれは張り替えが必要となります。 その交換時期を見極めるサインがいくつかあります。
まず、シート生地に触れた際に、新品時の柔軟性がなくなり、ゴワゴワと硬くなっている場合は劣化が進んでいる証拠です。 また、表面の光沢がなくなり、色褪せが目立つようになったり、小さなひび割れが各所に見られたりする場合も注意が必要です。 さらに、補修してもすぐに別の場所から雨漏りが発生するような状態は、シート全体の防水性能が限界に近いことを示しています。 これらの症状が見られたら、台風シーズンなどを迎える前に、シートの張り替えを具体的に検討すべきタイミングと言えます。
メンテナンスや張り替えを依頼する専門業者の選び方
テント倉庫のメンテナンスやシートの張り替えを依頼する際は、信頼できる専門業者を選ぶことが非常に重要です。 まず確認すべきは、テント倉庫に関する施工実績の豊富さです。 企業のウェブサイトなどで過去の事例を確認し、同様の規模や用途の経験が十分にあるかを見極めます。
次に、問い合わせ後の対応として、必ず現地調査を行った上で、現状の問題点を明確に説明し、具体的な補修方法や複数のシート材質の提案など、詳細な見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。 単に見積金額の安さだけで判断するのではなく、提案内容の妥当性や、工事後の保証、アフターフォローの体制まで含めて総合的に比較検討することが、長期的な安心につながります。
まとめ
テント倉庫の耐用年数には、減価償却の際に用いる国税庁が定めた「法定耐用年数」と、実際の建物の寿命を示す「物理的耐久年数」の二つの指標があります。 法定耐用年数は骨組みの鋼材の厚さで決まる税務上の基準ですが、物理的な寿命は設置環境や維持管理の質に大きく左右され、15年~20年が一般的な目安です。
紫外線、雨風、塩害などは劣化を促進する要因となるため、シートの破損や鉄骨のサビなどを定期的に点検し、計画的にメンテナンスを行うことが重要です。 これら2つの耐用年数の違いを認識し、適切な維持管理を実践することで、テント倉庫の資産価値を長く保つことが可能となります。
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創業 | 昭和25年12月6日 |
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営業種目 | 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用 |
許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
取引銀行 | 滋賀銀行 高島支店 関西みらい銀行 安曇川支店 滋賀県信用組合 安曇川支店 |
関連会社 | 株式会社トータル・オーガニック・プランニング 沢村ホーム株式会社 |
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