工場の静電気対策について!

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工場の静電気対策について!
工場における静電気は、さまざまな危険を引き起こす可能性があります。特に、可燃性の液体やガス、粉じんなどを扱う工場では、静電気放電による引火や爆発のリスクが高まります。消防白書によると、危険物施設の火災原因として静電気火花が安定して高い割合を占めていることが報告されています。
静電気による火災や爆発は、人身事故や製品の焼損、工場の稼働停止といった重大な損害につながるおそれがあるため、適切な対策が不可欠です。
なぜ静電気で火災が起きるのか?そのメカニズムと危険性
静電気による火災は、静電気放電に伴う火花が、引火しやすい可燃性の蒸気や粉じんなどに引火することで発生します。特に、引火点が低い第一石油類や第二石油類といった危険物を扱う環境では、わずかな放電でも火災につながる危険性があります。静電気が発生するメカニズムやその危険性を深く理解し、適切な対策を講じることが、火災事故を未然に防ぐために重要です。
引火・爆発につながる静電気放電の仕組み
静電気は、物体が電気を帯びる現象や、その電気自体を指します。通常、物体はプラスとマイナスの電荷が均衡しており、電気的に中性な状態です。しかし、摩擦などによって電荷の移動が起こると、電荷のバランスが崩れて静電気が発生します。例えば、ある物体がマイナスの電荷を得るとマイナスに帯電し、失った側はプラスに帯電します。この帯電した物体が電気を流しやすい物質に接触すると、電荷が移動して中性に戻ろうとします。この電荷の急速な移動によって生じるのが「静電気放電」です。工場で可燃性の蒸気や粉じんが存在する環境では、この放電時に発生する火花が引火源となり、火災や爆発につながる危険性があるため、適切な対策が不可欠です。
工場で実際に起きた静電気火災の事故事例
工場における静電気火災は、実際に多くの事故事例が報告されています。例えば、作業員の衣服や靴から発生した静電気が、空気中の粉末に引火したケースがあります。また、石油系の溶剤に静電気の火花が着火し引火する事故や、合成樹脂製品をドラム缶へ充填する作業中に発生した静電気が引火する事例も発生しています。 2007年には、タンクローリーから屋外タンクへナフサを注入中、流動帯電によって蓄積された静電気が液面計の金属部分で放電し、可燃性蒸気に引火・爆発する大規模な事故も起きています。
これらの事例は、静電気火災の原因が多岐にわたり、一見すると対策が難しいと感じるかもしれません。しかし、「静電気に注意しているから大丈夫」と油断することなく、静電気の発生原因や対策手順を継続的に見直し、潜在的なリスクを洗い出すことが重要です。
あなたの工場は大丈夫?静電気が発生しやすい環境と条件
工場での静電気火災を防ぐためには、どのような環境や条件が静電気を発生させやすいのかを理解することが不可欠です。静電気の発生源やその影響を把握することで、より効果的な予防策を講じることができます。このセクションでは、静電気が発生しやすい具体的な環境と条件について詳しく解説し、工場内の潜在的なリスクを評価するための基礎知識を提供いたします。
空気が乾燥する冬場は特に注意が必要
冬場は湿度が低く、空気が乾燥しているため、静電気が特に発生しやすい時期です。湿度が高い環境では、空気中の水分が静電気を自然に放電しますが、乾燥していると放電されずに蓄積されてしまいます。気温が低いと空気中の水分量も減少し、湿度がさらに低下するため、静電気の蓄積が進みやすい傾向があります。一般的に、湿度20%以下、温度20℃以下の環境では静電気が発生しやすいため、特に注意が必要です。
作業中の摩擦や剥離によって静電気が溜まる
物体同士の摩擦や剥離も静電気を発生させる主な要因の一つです。例えば、プラスチックやゴムなど電気抵抗が大きい物質は、摩擦によって静電気を蓄積しやすい性質を持っています。さらに、石油製品のような電気絶縁性が高い物質も静電気をため込みやすい特徴があります。液体を高速で流動させる作業も静電気発生の原因となるため、注意が必要です。これらの状況下では、静電気が蓄積されやすく、放電時に火花が発生し、引火性物質に引火する危険性が高まります。
可燃性のガスや粉じんが存在する場所は危険度が高い
可燃性のガスや粉じんが存在する環境は、静電気火災のリスクが極めて高まります。たとえば、ガソリンや石油系溶剤の蒸気、空気中に漂う小麦粉や金属粉じんなどは、静電気の火花によって引火・爆発する危険性があります。特に「粉じん爆発」は、密閉された空間で粉じんが舞い上がり、静電気によって着火すると大規模な爆発を引き起こす可能性があり、甚大な被害につながることも少なくありません。また、合成樹脂のような可燃性の製品を取り扱う際にも、静電気が原因で引火する事故が発生する危険性があります。これらの環境では、製品の焼損や工場の稼働停止、さらには人身事故といった重大なトラブルを引き起こす可能性があるため、徹底した静電気対策が不可欠です。
今日からできる!工場の静電気火災を防ぐための具体的な対策
工場における静電気火災を未然に防ぐためには、多角的な対策を組み合わせることが重要です。静電気の発生を抑制し、安全に放電するための具体的な方法を理解し、工場全体の安全管理体制を強化することで、重大な事故のリスクを低減できます。ここでは、日常的に実施できる対策から設備投資を伴う対策まで、多岐にわたる具体的な方法をご紹介します。
基本の対策!アース(接地)で静電気を逃がす
アース(接地)は、物体に蓄積された静電気を安全に地面へ逃がすための基本的な対策です。危険物を取り扱う設備や金属製のドラム缶、タンクなど、静電気が発生しやすい場所には、適切なアースを施すことが求められます。比較的容易に設置できますが、ガラスやゴムといった絶縁体にはアースの効果が期待できないため、状況に応じて他の対策と組み合わせて実施することが重要です。
工場内の湿度を適切に管理して帯電を防ぐ
工場内の湿度を適切に管理することは、静電気の帯電を抑制する上で非常に効果的です。空気中の水分は静電気の放電経路となり、帯電した電荷を自然に放出させる役割を果たします。特に乾燥しやすい冬場などは、加湿器の導入や空調による湿度調整を通じて、適切な湿度を維持することが大切です。これにより、特別な設備投資をせずとも、倉庫全体の静電気発生リスクを軽減できるため、費用対効果の高い対策と言えます。最適な湿度は環境によって異なりますが、一般的には50%から60%程度を目安に設定すると良いでしょう。
イオンで中和!除電器(イオナイザー)を導入する
静電気対策の一つとして、除電器(イオナイザー)の導入が有効です。除電器は、空気を電離してプラスとマイナスのイオンを生成し、帯電している物質にこれらのイオンを接触させることで電荷を中和し、静電気を除去する装置です。これにより、製品への異物付着防止や静電破壊防止、設備動作不良の抑制など、さまざまな効果が期待できます。除電器には、ファンタイプやガンタイプ、バータイプ、スポットタイプなど多様な種類があり、工場内の用途や設置スペースに応じて適切な機種を選定することが重要です。また、最適な除電効果を得るためには、設置後の除電効果の確認や定期的なメンテナンスも欠かせません。
作業服や床材に導電性のある素材を取り入れる
工場内の静電気対策として、作業服や床材に導電性のある素材を取り入れることが効果的です。導電性のある床材や作業台は、人体や物品に蓄積された静電気を効率的に地面に逃がし、帯電を防ぎます。また、作業員が静電気防止靴や導電性の作業服を着用することで、人体への静電気蓄積を防ぐことが可能です。これらの対策は、静電気による引火や爆発のリスクを低減し、作業環境の安全性を高める上で重要な役割を果たします。
手軽に導入できる帯電防止剤を塗布する
静電気対策として、物体に直接帯電防止剤を塗布する方法は有効です。帯電防止剤には、粉末やスプレーなど様々な種類があり、工場の環境や対象物の種類に応じて最適なものを選ぶことが大切です。これらの帯電防止剤を塗布することで、物体の表面に導電性の薄い膜を形成し、静電気の蓄積を防ぎ、安全な放電を促す効果が期待できます。手軽に導入できるため、特定の箇所や設備に対する短期的な対策として活用しやすい方法です。
作業員の安全意識を高めるための手順書を作成する
静電気対策は、設備だけでなく、作業員一人ひとりの意識を高めることが重要です。そのためには、具体的な手順を明記した作業手順書を作成し、全従業員に周知徹底することが不可欠です。例えば、危険物を取り扱う際は、引火性液体の流速を制限することや、作業開始前に接地された金属に触れて人体に帯電した静電気を放電すること、作業エリアでの火気使用を完全に禁止するといった項目を盛り込むと良いでしょう。さらに、定期的な教育・訓練を実施することで、作業員がこれらの手順を確実に実行できるようになり、静電気による事故のリスクを大幅に軽減できます。
まとめ
工場における静電気対策は、火災や爆発といった重大な事故を未然に防ぐ上で不可欠です。静電気は摩擦や剥離によって発生しやすく、特に乾燥した環境や可燃性の物質が存在する場所では、そのリスクが高まります。効果的な対策としては、アースの設置、湿度管理、除電器の導入、導電性素材の活用、帯電防止剤の塗布、そして作業員の安全意識向上を促す手順書の作成などが挙げられます。これらの対策を総合的に実施することで、静電気による事故のリスクを大幅に低減し、工場全体の安全性を高めることが可能です。
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許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
取引銀行 | 滋賀銀行 高島支店 関西みらい銀行 安曇川支店 滋賀県信用組合 安曇川支店 |
関連会社 | 株式会社トータル・オーガニック・プランニング 沢村ホーム株式会社 |
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