増築・改築の違いをわかりやすく解説!

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増築・改築の違いをわかりやすく解説!
増築と改築はどちらも既存の建物に手を加える工事であり、一括りに「増改築」と呼ばれることもありますが、それぞれ異なる定義があります。この違いを理解することは、ご自身の計画に適した選択をする上で非常に重要です。この記事では、それぞれの建築行為について、基礎的な知識から詳しく解説していきます。
建築行為の基本を理解する
建築基準法において、建築行為とは建物を新築、増築、改築、または移転することを指します。これらの建築行為を行う際には、建物の安全性や法適合性を確認するために「建築確認申請」が必要です。建築確認申請は、工事着工前に建物の設計図や計画が建築基準法などの法律に違反していないかを審査するためのもので、自治体または民間の指定確認検査機関に申請します。
また、増築や改築によって建物の状況が変わった場合は、「建物表題部変更登記」を行う必要があります。これは、建物の構造、種類、床面積、屋根の種類などが変更された際に、登記簿上の情報を最新の状態に更新する手続きです。増築した部分が未登記だと所有権を第三者に主張できない場合があるため、変更から1ヶ月以内に申請することが法律で義務付けられており、怠ると過料が科される可能性があります。
新築とは何か
新築とは、基礎となる土地に新たに建物を建築する行為を指します。更地、または既存の建物が解体された状態の敷地に、新たに一から建物を建てることを意味します。そのため、これまでの建物の用途や構造、規模に関わらず、新たな建築物を建てる場合に新築と定義されます。建築基準法においても、新築は建築行為の一つとして明確に定められています。
増築とは何か
増築とは、既存の建物の床面積を増やす工事全般を指します。具体的には、今ある建物に部屋を追加したり、平屋を2階建てにしたりする場合が該当します。また、既存の建物とは別に、敷地内に新たな建物を建てる場合も増築に含まれます。この「床面積が増加する」という点が、増築の重要なポイントです。
増築は、既存の建物と一体で行われるものと、敷地内に全く別の棟として建てられるものに分けられます。建築基準法では増築の明確な定義はありませんが、運用上、敷地内の既存建築物の延べ面積を増加させること、または敷地内の建築物を増加させることとされています。
改築とは何か
改築とは、建物の全部または一部を取り壊した後、以前の建物の用途、規模、構造と著しく異ならない建物を再び建てる行為です。これは、災害などによって建物が滅失した後に、引き続き以前とほぼ同じ建物を再建する場合も含まれます。重要な点は、従前の建物からの変更が著しくないことであり、例えば木造建築物を壊して同じ規模の木造建築物を建てるケースが改築に該当します。一方、木造建築物を壊して鉄骨建築物を建てる場合は、新築と定義されます。使用材料の新旧は改築の判断基準にはなりません。
移転とは何か
移転とは、建築基準法において「建築」行為の一つとして定められており、建築物を解体せずに、そのままの状態で別の場所へ移動させることを指します。原則として同一敷地内での移動を指しますが、ジャッキアップやコロ、レールなどを用いた「曳家(ひきや)」と呼ばれる方法が一般的に用いられます。敷地外への移転も可能ですが、その場合は新築扱いとなるケースもありますので注意が必要です。
増築のメリット
ここからは、増築をおこなうメリットについてご説明させていただきます。
延床面積の広がり
増築は、居住空間の拡張や設備の充実を可能にし、ライフスタイルの変化に対応できる点が大きなメリットです。例えば、子供部屋の追加や二世帯住宅への変更、趣味のスペース確保などが挙げられます。既存の居住スペースを維持したまま、より広く快適な住環境を実現できるのは増築の強みと言えるでしょう。また、増築によって床面積が増加すると、将来的に建物の資産価値向上に繋がる可能性もあります。
建替えよりコストがいい
増築は、既存の建物をそのまま利用できるため、全体的な工事費用を抑えやすいという利点があります。部分的な追加工事で済むため、新築や建て替えに比べて解体費用や基礎工事にかかる費用を大幅に削減することが可能です。一方で、建て替えは既存建物の解体から新規建築まで全ての工程が必要となるため、それぞれの費用が発生し、総費用が高くなる傾向にあります。増築は、必要なスペースだけを効率的に増やすことで、経済的な負担を軽減しつつ住環境の向上を図れる選択肢と言えるでしょう。
住みながら工事が出来る
増築リフォームは、既存の住まいに新たな空間を追加する工事で、建て替えに比べて費用や工期を抑えられる場合があります。一部の増築リフォームでは居住しながら工事を進めることができるため、仮住まいへの引っ越しやそれに伴う家賃、引っ越し費用などの追加費用が発生しない可能性がある点がメリットです。特に、工事範囲が限定的である場合や、水回りの設備を一時的に別の場所で代替できる場合など、日常生活への影響を最小限に抑えながら住環境を改善できることがあります。また、自宅にいながら工事の進捗状況を直接確認し、職人とコミュニケーションを取ることで、より希望に沿ったリフォームを実現しやすくなるでしょう。愛着のある住まいの雰囲気や外観を保ちつつ、必要な機能や快適性を追加できることも魅力の一つです。
ただし、増築リフォームの規模や内容によっては、居住しながらの工事が難しい場合もあります。大規模な増築工事や生活に不可欠な設備(キッチン、浴室、トイレなど)が長期間使用できなくなる場合、安全性に問題がある工事、騒音や振動が激しい工事の場合は、仮住まいが必要となることがあります。 工事に使う機材や資材の搬入により、居住スペースが少なくなるケースも考えられます。一部屋ごとの工事を依頼することも可能ですが、工事に制限がかかることで工期が伸び、結果としてコスト増加につながる可能性もあります。そのため、増築リフォームを検討する際は、事前に業者とよく相談し、工事の範囲や期間、仮住まいの必要性について確認することが重要です。
増築にかかるデメリット
増築には多くのメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、計画段階でしっかりと対策を検討することが、後悔しない増築につながります。
見た目や強度の低下
増築のデメリットとして、既存の建物と増築部分との間で外観に一体感がなくなり、見た目が悪くなる可能性が挙げられます。特に築年数が古い建物の場合、同じ建材の入手が困難になるため、新旧の差が目立ちやすくなります。さらに、増築部分と既存部分で構造や耐震性に差が生じやすく、建物全体のバランスが悪化するリスクにも注意が必要です。接合部では雨漏りや地震時のひび割れなどが発生する可能性が高まることも考慮しておくべきでしょう。
登記や確認申請が必要
増築を実施する際は、法的手続きや申請が必要になる点に注意が必要です。増築によって建物の種類や構造、床面積に変更が生じた場合は、変更から1ヶ月以内に「建物表題部変更登記」を申請しなければなりません。この手続きを怠ると、過料が科されるだけでなく、将来的に不動産を売却する際や住宅ローンを利用する際の手続きが複雑化する恐れがあります。また、建築基準法に基づいて、自治体や指定確認検査機関へ「建築確認申請」を行うことも必須です。これらの申請には専門的な書類が求められ、提出書類に不備があると工事の開始が遅れる可能性もあるため、計画的な準備が重要になります。
固定資産税の増加
増築により建物の床面積が増加すると、それに伴い固定資産税が増加する可能性が高いです。固定資産税の評価額は、増築部分の面積や構造、使用された建材によって決定され、その評価額に税率がかけ合わされて税額が算出されます。例えば、わずかなサンルームの増築であっても、年間数千円から数万円の税額増が見込まれることがあります。居住用の増築には軽減措置が適用されるケースもありますが、全ての増築で税額が軽減されるわけではないため、事前の確認が重要です。
増築の際に発生するその他の費用
増築では、工事費や申請費用以外にも、思いがけない費用が発生するケースがあります。その一つが「贈与税」です。建物の所有者以外の方が費用を負担した場合に発生する可能性があり、例えば、お子様が増築費用を援助する場合や、ご両親が支援金を出す場合などに見落とされがちですので注意が必要です。このようなケースでは、事前に税金に関する知識を深めておくことで、予期せぬ出費を避けることができるでしょう。
増築の流れと注意点
増築工事は計画から完了まで複数の段階を踏むため、その流れと各段階での注意点を事前に把握しておくことが大切です。特に、法的な手続きや既存の建物への影響を考慮せずに進めてしまうと、後々トラブルに発展する可能性もあります。ここでは、増築を検討する際に押さえておくべき計画から完成までの流れと、特に注意すべきポイントについて詳しく解説します。
増築計画の確認事項
増築計画を具体的に進める前に、まず法令上の制限を確認することが不可欠です。建物の建ぺい率や容積率など、地域ごとに定められた建築基準法や条例を遵守する必要があります。特に、増築によって床面積が10㎡以上増える場合は、原則として建築確認申請が必要となることがほとんどです。さらに、防火地域や準防火地域では、増築面積が1㎡未満であっても建築確認申請が求められる場合があります。これらの法的規制を事前に把握し、適切な手続きを踏むことで、後々のトラブルを未然に防ぎ、スムーズに工事を進めることができます。
既存建物への影響を考慮する
増築リフォームを行う際は、既存の建物の耐震性を確認することが非常に重要です。特に築年数が古い住まいでは、現行の耐震基準を満たしていないことが多いため、そのまま増築を行うと建物全体の耐震バランスが崩れ、倒壊のリスクが高まる可能性があります。そのため、増築前に耐震診断を実施し、その結果に基づいて既存の建物部分の耐震補強を検討することで、安全に増築を進めることができます。
快適な居住空間を考える
増築リフォームの設計時には、生活動線や日当たり、風通しに十分な配慮が必要です。新しい部屋が加わることで、家族の動線が大きく変化するため、既存の部屋や廊下との繋がりを考慮した上で、新しい部屋の位置を決定することが大切です。また、増築によって日当たりや風通しが変わる可能性も考慮し、光や風が入りやすい位置に部屋を配置することで、より快適な居住空間を実現できます。さらに、近隣住宅への影響も考慮し、増築部分が他家の日当たりやプライバシーに悪影響を与えないよう配慮することも忘れてはいけません。
増築が難しいケース
増築を検討する際には、法令上の制限により希望する増築ができないケースや、そもそも増築が難しい物件である場合があることを理解しておく必要があります。このセクションでは、増築が困難となる主なケースについて解説します。
法令上の制限
増築を行う際には、さまざまな法令上の制限を遵守する必要があります。特に「建ぺい率」と「容積率」は重要な制限です。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合を指し、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合を指します。これらの割合は地域ごとに上限が定められており、増築によってこれらを超過すると違法建築となる可能性があります。最悪の場合、住宅ローンが組めなくなることもあります。
また、建物の高さに関する制限として「北側斜線制限」「高さ制限」「道路斜線制限」なども存在します。北側斜線制限は、北側に隣接する土地の日照や採光を確保するための規制です。高さ制限は用途地域によって建物の高さの上限を定めています。道路斜線制限は、道路の採光や通風を確保するために、道路に面した建物の高さが制限されるものです。
これらの法令上の制限は、増築の目的や規模によって適用される範囲や条件が異なります。増築を検討する際は、専門家へ相談し、ご自身の土地や建物の状況に合わせた正確な情報を確認することが非常に重要です。
再建築不可物件の場合
再建築不可物件とは、建築された当時は法令上の問題がなかったものの、現在の建築基準法では建て替えが認められない物件を指します。これは主に、建築基準法第43条で定められている「接道義務」を満たしていないことが理由です。接道義務とは、幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならないという規定であり、災害時の避難や緊急車両の通行路確保を目的としています。
増改築も建築基準法上は「建築」行為に該当するため、原則として建築確認申請が必要です。そのため、再建築不可物件では増改築も難しいのが実情です。しかし、10㎡以下の増築や、主要構造部の半分以下の修繕など、建築確認申請が不要な範囲であればリフォームが可能な場合があります。
また、築年数が古い再建築不可物件は、旧耐震基準で建てられていることが多く、耐震補強が必要になるケースもあります。さらに、工法や構造によっては技術的に増改築が難しい場合もありますので、増改築を検討する際は専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
増築には居住空間の拡大や建て替えよりも費用を抑えられるといった多くのメリットがある一方で、外観の不統一や登記・確認申請の手間、固定資産税の増加といったデメリットも存在します。これらのメリットとデメリットを総合的に比較検討し、ご自身のライフスタイルや将来の計画に合わせた選択をすることが重要です。
また、法令上の制限や再建築不可物件といった、増築が難しいケースも存在します。そのため、増築を検討する際には、専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。専門家は、お客様の状況に合わせた最適なプランを提案し、法的な手続きに関するアドバイスも提供してくれます。この情報が、皆様の理想の住まいを実現するための一助となれば幸いです。
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