忘れてはいけない危険物倉庫の保有空地とは?設置する目的と基準をわかりやすく解説

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危険物倉庫の保有空地は、安全に危険物を保管・管理するうえで欠かせない空間です。この空地は単に周囲のスペースを指すのではなく、事故発生時の被害拡大防止や消防活動の円滑化のために設けられています。火災や爆発などの緊急事態が起きた際に、保有空地があることによって消火や避難の安全性が確保されるため、施設の設計段階で慎重に検討すべき用地です。
保有空地の基準は法律や規則によって細かく定められており、取り扱う危険物の種類や数量、建物の構造によって異なります。
本記事では保有空地の意味や目的、適切な確保方法などについて詳しく解説していきます。
危険物倉庫に設ける保有空地とは
危険物倉庫に設ける保有空地とは、火災や爆発などの事故発生時に被害を最小限に抑えるために倉庫の外周や屋内貯蔵所の周囲に設けられる空間を指します。保有空地については、法令や条例により明確に定義されており、一定の幅やスペースを確保することが危険物倉庫の安全基準として求められています。保有空地は屋内や屋内貯蔵所においても、万が一の際に火災の延焼防止や近隣への被害拡大の抑制、さらには周囲の建物への影響を防ぐ重要な役割を担っています。
また、保有空地は消防車両や緊急車両の進入経路や消火設備の適切な設置場所として活用できます。これにより、火災などの緊急時に迅速な消火活動や避難誘導を可能にし、人的・物的被害の拡大を防げます。さらに、倉庫や屋内貯蔵所の保守点検作業のしやすさや安全管理にも大きく貢献しており、事故防止の観点からも必要不可欠な空地です。危険物倉庫の安全性を維持するためには、保有空地の確保と定義を正しく理解し、日常の管理や緊急対応に役立てることが重要です。
保有空地の定義
保有空地の定義とは、危険物を取り扱う施設の周囲に法令で定められた一定の空間を設けることを指します。これは火災や爆発の際に被害の拡大を防止し、安全な消火活動や避難を可能にするための重要なスペースです。保有空地とは単なる余白ではなく、緊急時の対応の要として機能します。設置基準は取り扱う危険物の種類や数量、建物の構造などに応じて細かく決まっており、これらを遵守することが必要です。施設の安全管理において保有空地の定義と役割を正しく理解しておくことが欠かせません。
保有空地の目的
保有空地の目的は、危険物施設において火災や爆発などの緊急事態が発生した際に被害の拡大を防ぎ、安全な消火活動と避難を可能にすることです。周囲との適切な距離を確保することで、火災の延焼を抑制し、消防車両や救助隊の円滑な進入を支援します。さらに、保有空地は平常時の施設点検やメンテナンスにも役立ち、事故の予防に貢献しています。これにより、安全管理の基盤として重要な役割を果たしています。
保有空地の意味
保有空地とは、危険物倉庫の周囲に設ける一定の空間を指し、火災や爆発時の被害拡大を防止する目的で法律により設置が義務付けられています。単なる余白ではなく、消火活動や避難を円滑に行うための重要な設備として機能します。保有空地の広さや配置は、保管する危険物の種類や量、建物の構造によって細かく定められており、安全管理の基本となる要素です。これにより、事故時の対応や日常のメンテナンスも効率的に行える環境が整えられています。
保有空地の基準と幅
保有空地の基準は、危険物の種類や数量、建物の高さや構造によって定められます。幅の設定は火災時の延焼防止や消火活動の円滑化を担保するためであり、高さの影響も考慮される重要な要素です。耐火性能の有無によって幅の要求は変わり、非耐火建築の場合は広い空地が必要です。また、建物の高さが増すと、より広い幅を確保することが求められます。これらの基準は法令に基づき厳格に運用され、地域ごとの条例で追加規定があることもあるため、設計段階での詳細な確認が必須です。適切な幅と空地の確保は、施設の安全管理に直結しています。
保有空地に必要な幅
保有空地に必要な幅は、主に取り扱う危険物の量と建物の耐火性能によって決まります。たとえば、耐火構造の壁や柱、床を備えた倉庫では、比較的狭い幅、具体的には1mや2mの幅の空地でも認められる場合があります。一方、耐火構造でない場合や、危険物の指定数量の倍数が大きくなる場合は、より広い幅が必要となります。例えば、指定数量の倍数が5以下の場合には最低0.5メートルの幅が必要ですが、危険物の量が増えるごとに必要な空地の幅も増加し、3m、5m、10mの幅以上を求められるケースもあります。こうした幅の基準を守ることで、火災や爆発発生時には被害の拡大を抑制でき、消火活動も円滑に行いやすくなります。そのため、倉庫の安全管理や法令遵守のためにも、保有空地の幅を正確に把握し、1m、2m、3m、5m、10mなど必要な幅を適切に確保することが不可欠です。
保有空地の距離の算出方法
保有空地の距離は、主に建物の構造や保管する危険物の指定数量の倍数に基づいて算出されます。まず、危険物の指定数量の倍数に応じて基準となる距離が一覧として定められており、これをもとに必要なラインを設定します。続いて、倉庫が耐火構造か非耐火構造かによって、距離が調整される場合があります。具体的な距離の算出方法では、指定数量の倍数が増えるにつれて、確保しなければならない保有空地の距離も広がります。例えば、倍数が5を超え10以下であれば1メートルから1.5メートル以上、倍数が50を超える場合は5メートル以上といった具合に、一覧で定められています。また、必ず最新の法令や自治体の条例に基づいて距離の設定を行うことが重要です。こうした基準を守ることにより、保有空地の距離が設計上の安全要件を適切に満たすことができます。
距離の緩和について
保有空地の距離に関しては、保有空地の緩和が認められる一定の規定があります。特に、2棟以上の屋内貯蔵所を隣接して設置する場合には、距離に関する緩和措置が適用され、通常よりも狭い幅の保有空地で設計できるケースがあります。これにより、敷地を有効に活用でき、限られた土地面積内でも効率的な倉庫配置が可能です。
この距離の緩和は、隣接する建物同士の防火性能や、取り扱う危険物の種類や数量など、安全性を確保できる条件のもと導入されるものです。適切な設計や安全対策を講じたうえで、行政機関への申請・承認が必要となります。そのため、保有空地の緩和を検討する際は、専門知識を持つ担当者や自治体窓口へ相談し、法令に準拠した対応を進めることが重要です。
距離の緩和を活用すれば、限られた土地でも必要な保有空地を確保しやすくなり、生産性向上や操業効率の改善といったメリットも期待できます。
保有空地が必要な施設は?
保有空地が必要な施設は、主に危険物を取り扱う取扱所や工場、移送取扱所などが挙げられます。これらの施設では火災や爆発時の被害拡大防止や消防活動の円滑化を目的とし、一定の空地を確保することが法律で義務付けられています。保有空地の広さや配置は、施設の構造や取り扱う危険物の種類・数量によって異なり、安全対策として欠かせない要素となっています。適切な空地の確保は、緊急時の安全確保や日常の点検・保守にも寄与します。
危険物倉庫・貯蔵所・工場の施設例
危険物倉庫や貯蔵所、工場には、その用途や規模に応じてさまざまな施設の例があります。たとえば、工場や製造所では、危険物を加工・生成するための設備があり、その多くは法令による保有空地の確保が必要です。特に屋内貯蔵所や屋内タンク貯蔵所では、建物内部で危険物や軽油などを保管することが多く、危険物が漏洩した際の安全対策が求められます。一方、屋外貯蔵所や屋外タンク貯蔵所は、屋外に設置されているため、万一の火災や爆発事故の際にも周囲への被害拡大を防ぐため、規定に基づく空地が必要不可欠です。
また、簡易タンク貯蔵所や移動タンク貯蔵所のように、柔軟な運用ができる施設もあります。例えば、移動タンク貯蔵所は車に設置されたタンクで危険物や軽油を積載し移動する場面があり、これらの運用についても安全確保の観点が重視されます。蓄電池など新たな危険物を取り扱う施設では、その性質に合わせて特別な規定が適用される場合があるため、個々の施設例や用途に適した空地設定が重要です。このような危険物倉庫、貯蔵所、工場等では、危険物の種別や貯蔵量、設置場所に応じた安全管理が不可欠となっています。
建築・工事時の注意点
建築や工事の際は、保有空地の基準に加え、軒下やラック周辺の空間確保にも注意が必要です。作業時には建物や工作物、地下構造への影響を考慮し、法令に準じた安全な配置を守ります。特に地下部分の施工では換気や防火措置に留意し、一般取扱所に適した作業環境を整えることが求められます。工事計画は周到に検討し、作業の安全性を最優先に取り組まなければなりません。
保安距離と保有空地の違い
保安距離と保有空地については、安全対策の目的が異なります。保有空地は危険物倉庫の敷地内に設けられる空間で、火災時の延焼防止や消火活動を円滑にする役割があります。一方、保安距離は危険物施設と周辺の住宅や学校などの公共施設との間に設けられる距離で、事故発生時の周囲への被害拡大を抑制することを目的としています。つまり、保有空地は施設内部の安全確保に重点を置き、保安距離は地域社会全体の安全配慮を目的としています。両者は関連しつつも、それぞれ異なる法律や基準に基づいて適切に管理される必要があります。
保安距離の定義
保安距離とは、危険物施設と周囲の住宅や学校など特定の施設の間に確保すべき安全な距離のことを指します。これは火災や爆発時の影響を地域全体に及ぼさないように設定されているもので、法律や条例によって具体的な基準が定められています。
一方で、保有空地の基準は施設内に設ける空間の幅や面積を示し、危険物の種類や数量、建物の構造に応じて変わります。保安距離は周辺環境を守るための距離を、保有空地は施設内の安全確保に重点を置いている点で異なります。これらの定義と基準を踏まえ、適切に距離や空地を確保することが危険物施設の安全管理に欠かせません。
保安距離と保有空地の違い
保安距離と保有空地については、安全確保という共通した目的がありますが、その適用範囲や役割には明確な違いがあります。保有空地については、危険物倉庫や工場などの敷地内に設けられる空間であり、万が一火災が発生した際に火災の拡大を防止し、消火活動を円滑に行うために必要とされています。具体的には、建物同士の間隔を確保することで火災時の延焼や安全な避難・活動スペースの確保に寄与します。
一方、保安距離と呼ばれる距離は、施設外部の周辺環境に対して設定されるものです。これは、危険物施設と住宅地、学校、病院など人が多く集まる重要施設との間に一定の距離を設けることで、万一の事故や災害発生時の被害を最小限に抑えることを目的としています。保安距離と保有空地について理解しておくことで、施設単体の安全確保だけでなく、地域全体の被害防止に繋がります。
また、保有空地は建築基準法や消防法などの規制によりその広さや設置が厳格に定められています。一方で、保安距離は主に都市計画法や地方自治体の条例によって設定され、土地利用や周辺環境の調整にも影響を持ちます。したがって、保安距離と保有空地については、それぞれの規制や意義を正しく理解し、適切に管理・運用することが重要です。
保有空地が必要ないケース
保有空地が原則として必要とされる一方で、一定の条件を満たす場合には設置が免除されることがあります。たとえば、保管する危険物の数量が非常に少ない場合や、耐火構造や防爆設備が高度に施された施設では、保有空地の幅が緩和されたり、不要となったりするケースがあります。 また、2棟以上の倉庫が隣接して設置されている場合には、特定の規定に基づいて保有空地を減じることも可能です。これにより、限られた敷地内でも効率的に危険物の取り扱いが可能となります。自治体の条例や消防法の細則によっても緩和措置が定められているため、事前に詳細な確認を行うことが重要です。 さらに、安全管理装置や防火設備が充実している場合には保有空地の必要性が軽減されることもありますが、いずれの場合も安全性を第一に考慮し、法令に準拠した適切な対応が求められます。
危険物倉庫の設置事例
危険物倉庫の設置事例では、安全基準に基づいた保有空地の確保が重要となります。設置の際は、法令で定められた距離や幅を遵守しつつ、敷地の有効活用を図ることが求められています。
具体的には、複数の倉庫を隣接配置することで保有空地の緩和を受けられる場合が多く、これにより限られたスペース内で効率的な設置が可能です。また、防爆設備や換気システムなどの安全対策を併せて導入し、事故発生リスクの低減を図っています。
こうした設置事例は、実際の運用や災害時の対応を考慮した実践的な設計手法となり、施設の安全性と利便性を両立させています。危険物倉庫の設置には、周囲環境への影響も考慮した総合的な安全管理が不可欠です。
まとめ
危険物倉庫の安全確保には、適切な空地の確保が欠かせません。保有空地は事故時の被害軽減や消防活動の円滑化に寄与し、日常の管理作業のしやすさにもつながります。設置基準は取り扱う危険物の種類や数量、建物の構造によって異なるため、法令や条例に則った適切な判断が必要です。
また、設計段階での慎重な計画や、場合によっては距離の緩和措置の活用も考慮しつつ、安全性を維持しながら効率的な施設運用を図ることが重要となります。安全基準を正しく理解し、日常の管理と非常時の対応に役立てることが、危険物施設の信頼性向上につながります。
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