コールドチェーン(低温物流/冷凍物流)とは?仕組みからメリット・課題、食品物流の補助金まで解説

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コールドチェーンとは、低温・定温管理が必要な商品を生産地から消費者の手元まで、一貫して適切な温度帯を保ちながら届ける物流の仕組みを指します。 食品の鮮度や品質を維持し、安全性を確保するために不可欠なシステムです。
この記事では、コールドチェーンの基本的な仕組みから、導入によるメリットや直面する課題、さらに事業者が活用できる補助金制度に至るまで、網羅的に解説します。
コールドチェーンとは?低温を維持したまま輸送する物流システムのこと

コールドチェーンとは、生鮮食品や冷凍食品、医薬品などを生産・製造現場から消費者に届けるまで、途切れることなく低温で管理する物流システム全般を指します。日本語では「低温物流体系」と訳され、単に商品を冷やして運ぶだけでなく、保管、加工、配送の各段階で一貫した温度管理を行う点が特徴です。
このシステムの概念は古くから存在し、冷蔵車の実用化は19世紀半ばのアメリカで始まりました。また、アメリカにおける冷凍食品の流通のためのコールドチェーン導入は、1940年代頃からとされています。
コールドチェーンの仕組み

コールドチェーンの仕組みは、単一の輸送技術ではなく、生産から消費に至るまでのサプライチェーン全体で構築されます。 具体的には、生産地での予冷、冷蔵・冷凍車による輸送、低温倉庫での保管、店舗での陳列といった各プロセスが連携し、鎖のようにつながることで機能します。
このいずれかの环节で温度管理が途切れると、製品の品質が著しく損なわれるため、全工程での厳密な管理が求められます。
コールドチェーンを構成する4つのプロセス

コールドチェーンを構築する仕組みは、主に4つのプロセスに大別されます。 生産・収穫から加工、保管、配送、そして最終的に消費者の手に渡るまで、一貫した温度管理が求められるサプライチェーン・マネジメントが不可欠です。
これらのプロセスが切れ目なく連携することで、製品の品質は生産時の状態に近いまま維持されます。 ここでは、その4つのプロセスを順に解説します。
①生産・収穫から加工施設までの輸送
コールドチェーンの第一歩は、生産現場から始まります。 畑で収穫された野菜や青果、港で水揚げされた魚などは、品質劣化を防ぐために速やかに予冷処理が施されます。
その後、冷蔵・冷凍機能を備えたトラックやリーファーコンテナを用いて、鮮度を保ったまま加工施設へと輸送されます。 この初期段階での迅速かつ適切な温度管理が、最終的な商品の品質を大きく左右するため、非常に重要なプロセスです。 特に傷みやすい生鮮品は、収穫・水揚げから輸送までの時間をいかに短縮し、低温状態を維持するかが鍵となります。
②加工施設での製造と低温保管
加工施設に到着した原材料は、低温環境が維持された室内で速やかに加工・製造されます。 加工プロセス中も製品の温度が上がらないよう、室温管理や冷却設備が徹底されます。
製品化された商品は、品質を維持するために、特性に応じた温度帯(冷凍、チルド、冷蔵など)で管理される専用の倉庫に保管されます。 この段階では、製品の品質を長期間安定させるための高度な冷凍・冷蔵設備と、厳密な在庫管理システムが不可欠です。 保管中の温度逸脱は、商品価値の低下に直結するため、24時間体制での監視が求められます。
③物流センターから小売店への低温配送
低温倉庫で保管された商品は、出荷指示に基づき、物流センターやセントラルキッチンなどを経由して、スーパーマーケットなどの各小売店へと配送されます。 この最終配送の段階でも、冷凍・冷蔵機能を備えた専用車両が用いられ、一貫した温度管理が継続されます。
特に注意が必要なのは、トラックへの積み込みや店舗での荷降ろしの作業です。 短時間であっても商品が外気に触れることで温度が上昇し、品質劣化のリスクが高まるため、ドックシェルターなどの設備を利用して外気との接触を最小限に抑える工夫がなされます。
④小売店での陳列から消費者の手元まで
コールドチェーンの最終地点は、消費者が商品を手にする小売店です。 店舗に配送された商品は、バックヤードの冷蔵・冷凍庫で一時保管された後、売り場のショーケースに陳列されます。 スーパーなどの小売店では、ショーケースの温度を適切に維持管理し、商品の鮮度と安全性を保つ役割を担います。
また、消費者が商品を購入し、自宅へ持ち帰るまでの時間も考慮し、保冷剤やドライアイスを提供するなど、品質維持のための最後の配慮が行われることもあります。 このように、消費者の口に入る直前まで、コールドチェーンは続いています。
食品の安全と品質を守るコールドチェーンの重要性

コールドチェーンは、現代の食生活を支える上で極めて重要な社会インフラです。 産地から食卓までの距離が広がる現代において、食品の鮮度や栄養価を維持し、食中毒菌などの微生物の増殖を抑制することで、食の安全性を根本から確保します。
特に、生鮮食品や冷凍食品の流通網は、このシステムなしでは成り立ちません。 豊かな食文化を持つ日本はもちろん、世界各国の食料供給網においても、コールドチェーンは品質の高い食品を安定的に届けるための基盤となっています。
コールドチェーン導入で得られる3つのメリット

コールドチェーンの導入は、事業者にとって多くのメリットをもたらします。 最も大きな利点は、食品の鮮度と安全性を長期間にわたって維持できることです。 これにより、商品の付加価値向上や顧客満足度の向上が期待できます。
また、流通過程での品質劣化を防ぐことで食品廃棄の削減に貢献し、これまで地理的・時間的な制約で販売が難しかった遠隔地や海外への販路拡大も可能になります。
メリット1:食品の鮮度と安全性を長期間維持できる
コールドチェーンの最大のメリットは、食品の鮮度と安全性を長期間維持できる点にあります。 低温環境は、微生物の増殖や酵素による化学変化の速度を遅らせるため、食品の腐敗や劣化を効果的に抑制します。
商品ごとに最適な温度帯、例えば冷凍食品なら-18℃以下、チルド品なら0℃~5℃といった厳密な温度管理を生産から消費まで一貫して行うことで、収穫・製造時の高い品質を保ったまま消費者に届けることが可能です。 これにより、食品の味や食感、栄養価を損なうことなく、安全性の高い商品を提供できます。
メリット2:フードロス(食品廃棄)の削減につながる
流通過程における適切な温度管理は、食品の品質劣化や腐敗を防ぎ、結果としてフードロス(食品廃棄)の削減に大きく貢献します。 従来、輸送中や保管中の温度変化によって商品価値が失われ、廃棄せざるを得なかったケースが少なくありませんでした。
コールドチェーンによって食品の可食期間が延長されることで、サプライチェーン全体での廃棄量を減らすことが可能です。 これは、事業者にとっての経済的損失を抑えるだけでなく、食料資源の有効活用や環境負荷の低減といった社会的な課題の解決にもつながる重要な取り組みです。
メリット3:販売エリアを全国・海外へ拡大できる
コールドチェーンの整備により、長距離・長期間の輸送が可能になるため、事業者は販売エリアを大幅に拡大できます。 これまで鮮度維持が難しく、近隣地域にしか供給できなかった商品も、全国の消費者へ届けることが可能になります。
さらに、日本の高品質な食品への需要が高まっている海外市場への展開も現実的な選択肢となります。 特に経済成長が続くアジア(ASEAN)地域、例えばタイなどでは、日本の農産物や水産物、加工食品に対する関心が高く、コールドチェーンを活用することで新たな市場を開拓する大きなチャンスが生まれます。
コールドチェーンが抱える3つの課題

多くのメリットがある一方で、コールドチェーンの導入と維持にはいくつかの課題も存在します。 事業者にとっては、高額な設備投資や継続的に発生する運営コストが大きな負担となる問題があります。
また、専門的な知識を持つ人材の確保や、大量のエネルギー消費に伴う環境負荷への対応も、避けては通れない課題です。 これらの問題を総合的に検討し、対策を講じることが求められます。
課題1:設備投資や電気代などのコストが高い
コールドチェーンが抱える最大の課題は、コストの高さです。 低温環境を維持するためには、冷蔵・冷凍倉庫や断熱性の高い専用車両、温度管理システムといった専門的な設備が必要であり、その導入には多額の初期投資が求められます。
さらに、24時間365日、低温を維持し続けるための電気代や燃料費といったランニングコストも、一般的な物流と比較して高額になる傾向があります。 これらのコストは最終的に商品価格に反映されるため、事業者は常にコスト効率の改善に取り組む必要があります。
課題2:温度管理を担う専門人材の確保が難しい
コールドチェーンの品質は、それを運用する人材の専門性に大きく依存します。 各プロセスにおいて、商品の特性を理解し、適切な温度管理を徹底できる知識と技術を持った人材が不可欠です。
しかし、物流業界全体でドライバーや倉庫作業員の人手不足が深刻化する中、専門的なスキルを持つ人材の確保は多くの企業にとって困難な課題となっています。 特に東京などの大都市圏では競争が激しく、自社での育成や専門の物流会社との連携が重要になります。 社内の教育体制を整備し、継続的に人材を育てていく視点が求められます。
課題3:環境負荷(CO2排出量)を低減する必要がある
低温状態を維持するために大量の電力を消費し、冷凍・冷蔵車が走行することでCO2を排出するため、コールドチェーンは環境負荷が大きいという課題を抱えています。 世界的に脱炭素社会への移行が求められる中、物流業界においても環境配慮は重要な経営課題です。
これに対応するため、環境省などが推進する省エネルギー型の冷凍・冷蔵設備の導入や、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用、AIを活用した最適な配送ルートによる燃料効率の改善といった取り組みが不可欠です。 環境負荷の低減と事業活動の両立が、今後の持続的な成長の鍵を握ります。
食品以外にも広がるコールドチェーンの活用事例

コールドチェーンの技術は、厳密な温度管理能力から、食品分野以外にも活用例が広がっています。 特に、品質が温度変化に極めて敏感な医薬品やワクチンといった医療関連製品の輸送では不可欠な存在です。
また、特定の化学反応を防ぐ必要がある化学製品や、精密な温度管理が求められる半導体関連の部材輸送など、その用途は多岐にわたります。 このように、コールドチェーンは様々な産業の品質を支える重要なインフラとして機能しています。
コールドチェーンの導入・運用に活用できる補助金制度

コールドチェーンの構築には多額の設備投資が必要となるため、国や地方自治体は事業者の負担を軽減するための補助金制度を設けています。 例えば、国土交通省や農林水水産省は、物流の効率化やサプライチェーン強靭化を目的とした冷凍・冷蔵倉庫の整備や設備導入を支援しています。
また、HACCPなどの国際的な衛生管理認証の取得を促進する補助金もあり、これらを活用することで品質管理レベルの向上とコスト削減を両立させることが可能です。
よくある質問

ここでは、コールドチェーンの導入を検討する事業者が抱きやすいよくある質問とその回答をまとめました。 物流システムとしての基本的な意味合いの違いから、導入にかかる具体的な費用感、運用上のリスク、そして今後の技術的な展望まで、事業判断の参考となる情報を提供します。
これらのQ&Aを通じて、コールドチェーンへの理解をさらに深めることができます。
コールドチェーンと一般的な物流との違いは何ですか?
コールドチェーンと一般的な物流(ドライ物流)との最も大きな違いは、「一貫した温度管理」の有無です。 一般的な物流が常温での輸送を基本とし、荷物をA地点からB地点へ移動させることを主目的とするのに対し、コールドチェーンは生産から消費までの全ての工程において、製品ごとに定められた特定の低温帯(冷凍・チルド・冷蔵など)を厳密に維持し続ける点に特徴があります。
単に商品を冷やして運ぶだけでなく、サプライチェーン全体で品質を保証する統合されたシステムであるという点が本質的な違いです。
コールドチェーンの導入にはどのくらいの費用がかかりますか?
コールドチェーンの導入費用は、事業の規模、扱う商品の種類、導入する設備の仕様によって大きく変動するため、一概に金額を示すことは困難です。 小規模な事業者が冷凍配送を外部委託する場合と、大規模な冷凍倉庫を自社で建設する場合とでは、コストが全く異なります。
初期投資としては、冷凍・冷蔵車両や倉庫設備に数百万から数億円規模の費用がかかることもあります。 また、市場のニーズに応じた最新の温度管理システムを導入するかどうかでも費用は変わるため、複数の専門業者から見積もりを取り、事業計画に合った投資規模を検討することが重要です。
コールドチェーンが途切れるとどのようなリスクがありますか?
コールドチェーンが途切れる、つまりサプライチェーンのどこかで適切な温度管理が中断されると、深刻なリスクが発生します。 最も直接的なリスクは、商品の品質劣化です。 温度が上昇することで微生物が急激に増殖し、食品の場合は変色や異臭、腐敗を引き起こします。
これが原因で食中毒が発生すれば、消費者の健康被害につながるだけでなく、製造物責任法(PL法)に基づき多額の損害賠償を請求される可能性があります。 結果として、経済的な損失はもちろん、企業のブランドイメージや社会的信用が大きく損なわれる事態を招きます。
コールドチェーンの分野で今後どのような技術革新が期待されますか?
コールドチェーンの分野では、さらなる効率化と品質向上、環境負荷低減を目指した技術革新が期待されています。 具体的には、IoTセンサーを用いて輸送中の温度や湿度、衝撃などをリアルタイムで遠隔監視するシステムが普及し、より緻密な品質管理が可能になります。
また、AIを活用して気象データや交通状況から最適な配送ルートを自動で算出し、燃料消費とCO2排出量を削減する取り組みも進む見込みです。 さらに、液体水素を冷媒とする次世代の冷凍技術など、よりエネルギー効率が高く環境に優しい冷却システムの開発も進められています。
まとめ
コールドチェーンは、生産地から消費地まで一貫した低温管理によって、食品などの品質と安全性を維持する物流システムです。 これを導入する企業は、鮮度維持による商品価値の向上やフードロスの削減、さらには国内外への販路拡大といった多くのメリットを享受できます。
一方で、高額な設備投資やランニングコスト、専門人材の確保、環境負荷といった課題も存在します。 これらの課題を克服し、メリットを最大化するためには、自社の事業規模や目的に合わせ、補助金の活用や最新技術の導入を視野に入れた慎重な計画が求められます。
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| 資材センター | 滋賀県高島市勝野873-1 |
| 創業 | 昭和25年12月6日 |
| 資本金 | 50,000,000円(グループ全体) |
| 従業員数 | 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在 |
| 売上高 | 63億円(グループ全体)※2024年9月実績 |
| 営業種目 | 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用 |
| 許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
| 取引銀行 | 滋賀銀行 高島支店 関西みらい銀行 安曇川支店 滋賀県信用組合 安曇川支店 |
| 関連会社 | 株式会社トータル・オーガニック・プランニング 沢村ホーム株式会社 |
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