冷凍冷蔵倉庫の採暖室は設置義務?法律に基づく設計基準を解説
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冷凍倉庫など極低温の環境下で作業する従業員の健康と安全を守るため、採暖室の設置は非常に重要です。 労働安全衛生法に基づき、一定の条件下では設置が義務付けられています。
この記事では、冷凍冷蔵倉庫における採暖室の設置義務の根拠となる法律や、具体的な設置基準、設計時の注意点について詳しく解説します。
冷凍冷蔵倉庫における採暖室の重要性とは
冷凍冷蔵倉庫という特殊な環境下では、作業員の健康維持と安全確保が最優先課題です。 採暖室は、低温による身体への負担を軽減し、凍傷や低体温症といった労働災害を未然に防ぐために不可欠な設備といえます。
また、適切に体を温め休息できる環境は、従業員の集中力やモチベーションを維持し、作業効率の向上にも寄与します。
作業員の凍傷や低体温症のリスクを軽減する役割
冷凍冷蔵倉庫内は、-20℃以下になることも珍しくない過酷な環境です。 このような極端に低い温度の場所で長時間作業を続けると、手足の感覚がなくなる凍傷や、体温が著しく低下する低体温症に陥る危険性が高まります。
採暖室は、作業の合間に体温を回復させるための重要な役割を担います。 定期的に暖かい場所で休憩することで、血行を促進し、低温環境による身体への深刻なダメージを予防します。 特に、倉庫内の温度帯が低いほど、こまめに体を温める必要があり、採暖室の存在が作業員の安全を直接的に守ることになります。
従業員の作業効率と定着率の向上につながる
過酷な寒冷環境は作業員の身体的な疲労だけでなく精神的なストレスも増大させます。 適切に管理された採暖室があれば従業員は安心して休憩を取り心身ともにリフレッシュできます。
この休息が集中力の回復を促し作業ミスや事故の防止に繋がることで結果的に生産性の向上をもたらします。 さらに従業員の健康と安全を第一に考える企業の姿勢は働きがいや満足度を高め人材の定着率向上にも大きく貢献します。 労働環境の整備は長期的な視点で見ると企業にとって重要な投資となります。
採暖室の設置は法律上の義務?労働安全衛生規則を解説
冷凍冷蔵倉庫における採暖室の設置は、低温環境下で働く労働者の健康障害を防止するための重要な措置です。日本冷凍倉庫協会などの業界団体も、会員企業に対して関連法規の遵守と適切な労働環境の整備を推奨しており、コンプライアンスの観点からも設置が強く推奨されます。
設置義務の根拠となる事務所衛生基準規則第19条
採暖室設置の根拠として、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則第19条には、事業者は労働者が利用できる休憩の設備を設けるよう努めなければならないと定められています。
さらに、著しく寒冷な場所で作業する労働者のために、事業者は採暖のための設備を設けることが求められます。冷凍冷蔵倉庫内での作業は、この「著しく寒冷な場所」に該当する場合があるため、事業者は作業員が体を温めるための設備、すなわち採暖室を用意することが望ましいとされています。
採暖室の設置が必要となる「著しく寒い場所」の定義
「著しく寒い場所」について、法令で明確な温度が定義されているわけではありません。 しかし、行政通達では、暖房されていない場所や、多量の熱を奪われる作業場、あるいは冬季の屋外作業などが例示されています。
一般的に、冷凍冷蔵倉庫の作業環境である10℃以下の場所はこれに該当すると解釈されています。 特にF級(-18℃以下)などの冷凍倉庫内での作業は、疑いなく「著しく寒い場所」に当てはまるため、事業者は労働者の健康を守るために採暖室を設置する義務があります。 判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認することが推奨されます。
法律で定められている採暖室の設置基準
採暖室の設置にあたっては、法律で定められたいくつかの基準を満たす必要があります。 単に部屋を用意するだけでなく、その場所や設備、広さについても適切な仕様が求められます。
これらの基準は、作業員が効果的に体を温め、安全に休憩できるようにするための最低限の要件であり、労働者の健康確保を目的としています。 設計段階からこれらの法的要件を十分に考慮することが不可欠です。
作業場所から近く、利用しやすい場所に設けること
採暖室は、低温の作業場所から離れすぎていては意味がありません。 法律では、作業場所から容易にアクセスできる場所に設置することが求められています。 具体的な距離の規定はありませんが、作業員が必要な時にためらうことなく、すぐに利用できることが重要です。
理想的には、作業エリアの出入り口付近や隣接した区画に設けるのが望ましいでしょう。 動線を考慮せずに遠い場所に設置すると、移動に時間がかかり利用されにくくなるだけでなく、急な体調不良時などに対応が遅れるリスクも生じます。
暖房や椅子など、体を温め休憩できる設備を備えること
採暖室を設ける場合、衛生的な管理と使用ができる構造設備とすることが重要です。これにより、作業員が快適に過ごし、心身を回復できる環境を整えることが期待されます。
作業員の人数に応じた十分な広さを確保すること
採暖室の広さは、同時に休憩を取る可能性のある作業員の人数を考慮して決定する必要があります。全員が窮屈な思いをすることなく、快適に過ごせるだけの十分なスペースが求められます。
休憩時間に利用が集中することも想定し、余裕を持った広さを確保することが重要です。これにより、作業員はパーソナルスペースを保ちながら、リラックスして体を休めることができます。
冷凍冷蔵倉庫に採暖室を設計・導入する際の注意点
採暖室を新たに設計・導入する際には、法律の基準を満たすだけでなく、実用面や効率性も考慮したいくつかの注意点があります。
冷凍冷蔵倉庫特有の環境に対応するための結露対策や、作業動線を妨げない設置場所の選定、そして長期的な運用コストを抑える省エネ設計などが重要なポイントになります。
これらの要素を総合的に検討することで、より快適で機能的な採暖室を実現できます。
結露の発生を防ぐための換気・湿度対策
冷凍倉庫と採暖室の間には大きな温度差があるため、結露が発生しやすい環境にあります。 特に、採暖室の暖かい空気が倉庫の冷たい壁や床に触れると、水滴が発生します。 この結露を放置すると、カビの発生による衛生環境の悪化や、建材の腐食、床が濡れることによるスリップ事故の原因となります。
対策として、適切な換気設備を導入して湿気を含んだ空気を排出し、室内の湿度をコントロールすることが不可欠です。 また、採暖室の壁や天井に防湿性能の高い断熱材を使用することも、結露の防止に効果的です。
作業効率を落とさないための最適な設置場所の選定
採暖室の設置場所は、関連する指針や一般的な安全衛生の推奨事項を考慮し、倉庫全体の作業効率を損なわないよう慎重に選定する必要があります。例えば、フォークリフトの通行ルートや商品の搬入・搬出動線を遮るような場所は避けるべきです。
作業員が頻繁に行き来するメインの通路から少し外れた位置や、作業エリアの一角に設けるなど、全体のレイアウトを考慮した配置が求められます。他の施設、例えばトイレや更衣室などと隣接させることで、動線をまとめ、より効率的な運用が可能になる場合もあります。
省エネ性能を高める断熱材や空調設備の選択
採暖室は常に快適な温度を保つ必要があるため、空調設備のランニングコストが継続的に発生します。
このコストを抑えるためには、省エネルギー性能を考慮した設計が重要です。
壁、天井、床に高性能な断熱材を使用することで、外部への熱の逃げを防ぎ、暖房効率を高めることができます。また、空調設備自体も、エネルギー消費効率の高い最新のモデルを選ぶことが推奨されます。初期投資は高くなる可能性がありますが、長期的に見れば光熱費の削減に繋がり、環境負荷の低減にも貢献します。
採暖室が完備された冷凍冷蔵倉庫の探し方
冷凍冷蔵倉庫の利用にあたり採暖室がすでに完備されている物件を探したい場合、いくつかの効率的な方法があります。 労働環境を重視する荷主やテナントにとって、採暖室の有無は物件選定の重要な基準の一つです。
物件情報を確認する際のポイントや、専門家の協力を得る方法を知っておくことで、希望に合った倉庫をスムーズに見つけることができます。
物件情報の設備欄で「採暖室あり」の記載を確認する
物流不動産の情報サイトや不動産会社のウェブサイトで貸し倉庫を探す際は、物件の詳細情報を注意深く確認することが基本です。 多くの物件情報には、「設備」や「施設概要」といった項目があり、そこに採暖室や休憩室の有無が記載されている場合があります。 「事務室/採暖室あり」といった表記があれば、条件を満たしている可能性が高いです。
また、キーワード検索機能があるサイトでは、「採暖室」と入力して検索することで、該当する物件を効率的に絞り込むことができます。
倉庫専門の不動産会社に条件を伝えて探してもらう
より確実かつ効率的に物件を探したい場合は、倉庫や物流施設を専門に扱う不動産会社に相談するのが最善の方法です。専門家であれば、ウェブサイトに掲載されていない非公開物件の情報を持っている可能性があります。
相談する際には、「冷凍冷蔵対応」であることに加え、寒冷な作業環境下での作業を考慮し、「労働安全衛生規則に準拠した休憩設備が利用できること」といった条件を明確に伝えることが重要です。
希望するエリアや規模、必要な温度帯などの条件と合わせて伝えることで、専門的な知見から最適な物件を提案してもらえます。
冷凍冷蔵倉庫の採暖室に関するよくある質問
冷凍冷蔵倉庫の採暖室に関して、事業者や管理者から寄せられることの多い質問をまとめました。 罰則の有無や既存施設の利用可否、設置費用といった実務的な疑問について、簡潔に解説します。 これらの回答を参考に、採暖室の設置や運用に関する理解を深め、適切な対応を検討してください。
採暖室を設置しなかった場合の罰則はありますか?
はい、罰則が科される可能性があります。
労働安全衛生規則には、暑熱、寒冷または多湿の作業場における休憩設備に関する規定があり、事業者は適切に作業環境を整備する義務を負っています。これらの規則に違反し、労働基準監督署による是正勧告に従わないなど、悪質なケースでは労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金に処せられることがあります。
そのため、法令を遵守し、作業場の状況に応じて適切な休憩設備を設置する必要があります。
一般的な休憩室を採暖室として利用できますか?
はい、要件を満たせば利用可能です。 一般的な休憩室であっても、作業員が体を温めるための十分な暖房設備が備わっており、作業場所から近くアクセスしやすいなど、事務所衛生基準規則で定められた採暖室の基準を満たしていれば問題ありません。
名称ではなく、機能と設備が法令の要件を満たしているかが重要です。
採暖室の設置にかかる費用の目安はどのくらいですか?
設置費用は、規模、仕様、既存の建物の状況によって大きく変動するため、一概に示すことは困難です。 内装工事、断熱材、空調設備、換気扇、電気工事などの費用が必要となります。 プレハブ式の簡易なものであれば数十万円から可能ですが、本格的な設備を導入する場合は数百万円以上かかることもあります。
複数の施工業者から見積もりを取ることをお勧めします。
まとめ
冷凍冷蔵倉庫で働く作業員の健康と安全を確保するためには、適切な採暖室の設置が重要です。これは、著しく寒い環境で働く作業員の凍傷や低体温症といった健康障害を防ぐために不可欠な措置となります。設置にあたっては、場所、設備、広さに関する基準を遵守する必要があります。また、結露対策や省エネ性能といった実用的な側面も考慮した設計が求められます。
採暖室は、従業員の安全確保、作業効率や定着率の向上に直結する重要な設備として、その役割を正しく認識し整備することが求められます。
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| 大津オフィス | 〒520-0242 滋賀県大津市本堅田三丁目33-16 エルミナ リアン 2F TEL. 077-572-3879 FAX. 077-573-8384 |
| 敦賀オフィス | 〒914-0811 福井県敦賀市中央町一丁目8-10 TEL. 0770-22-6005 FAX. 0770-47-6405 |
| 資材センター | 滋賀県高島市勝野873-1 |
| 創業 | 昭和25年12月6日 |
| 資本金 | 50,000,000円(グループ全体) |
| 従業員数 | 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在 |
| 売上高 | 63億円(グループ全体)※2024年9月実績 |
| 営業種目 | 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用 |
| 許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
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