冷凍倉庫の冷凍機とは?仕組みや種類、冷蔵倉庫との違いを解説

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冷凍倉庫は、食品や医薬品など厳格な温度管理が求められる物品を保管するための重要な施設です。 その心臓部ともいえるのが、庫内を一定の低温に保つ冷凍機であり、冷蔵倉庫業の品質を支える根幹をなす設備といえます。 冷凍機がどのような仕組みで冷却を行い、どのような種類があるのかを理解することは、適切な設備投資や効率的な倉庫運営に不可欠です。
本記事では、冷凍機の基本的な仕組みから種類別の特徴、選定ポイント、さらには冷蔵倉庫との違いまでを網羅的に解説します。
冷凍倉庫の心臓部!冷凍機の役割とは

冷凍倉庫における冷凍機は、単に空間を冷やすだけの機器ではありません。 保管物の品質を長期間にわたって維持するため、設定された温度を安定的かつ正確に保ち続けるという極めて重要な役割を担っています。
温度がわずかでも変動すれば、食品の風味劣化や医薬品の変質など、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。 そのため、冷凍機は倉庫全体の温度を均一に維持し、外気温の変化や扉の開閉による熱の侵入にも迅速に対応できる性能が求められる、精密な機械装置です。
冷凍倉庫と冷蔵倉庫で求められる性能の違い
冷凍倉庫と冷蔵倉庫の最も明確な違いは、法律で定められた保管温度帯にあります。 一般的に冷蔵倉庫が+10℃から-20℃までの温度帯でチルド品などを保管するのに対し、冷凍倉庫は-20℃以下のさらに低い温度で冷凍品を保管します。
この厳しい温度条件を満たすため、冷凍倉庫で使われる冷凍機には、冷蔵倉庫のものより格段に高い冷凍能力が要求されます。 また、低温を維持するためには、冷凍機自体の性能だけでなく、倉庫全体の断熱性能や気密性も重要となり、より強力な冷却システムとそれを支える建物の構造が一体となって機能することが必要です。
なぜモノが凍る?冷凍機の基本的な仕組みを解説

冷凍機が庫内の温度を著しく下げることができるのは、「気化熱」という物理現象を巧みに利用しているためです。 この冷却プロセスを実現するために、冷凍機は「冷媒」と呼ばれる特殊な液体をシステム内部で循環させています。 冷媒は、液体が気体に変化する際に周囲から大量の熱を吸収する性質を持っています。
この性質を利用し、庫内の熱を継続的に奪い、その熱を外部に放出するサイクルを繰り返すことで、冷凍倉庫内の低温環境が作り出され、維持されるのです。
「気化熱」を利用して熱を奪う原理
液体が気体になるときに周囲の熱を奪う現象を「気化熱」と呼びます。 身近な例では、注射の際にアルコールで皮膚を消毒するとひんやりと感じるのがこれにあたります。 アルコールが蒸発する際に、皮膚の表面から熱を奪っていくためです。
冷凍機もこの原理を応用しており、庫内に設置された蒸発器という装置の中で、液体状の冷媒を気化させます。 このとき、冷媒は倉庫内の空気から熱を大量に吸収し、結果として空気の温度が下がります。 この仕組みは家庭用のエアコンが部屋を冷やす原理とも共通しており、連続的に熱を移動させることで低温状態を保つのです。
「圧縮・凝縮・膨張・蒸発」の4つの工程(冷凍サイクル)
冷凍機は、冷媒の状態を変化させながら循環させる「冷凍サイクル」によって連続的な冷却を実現しています。 このサイクルは、「圧縮・凝縮・膨張・蒸発」という4つの主要な工程から成り立っています。 まず「蒸発」工程で、液体冷媒が庫内の熱を奪い気体になります。 次に「圧縮」工程で、気体になった冷媒を圧縮機で高温・高圧の状態にします。
続いて「凝縮」工程で、高温・高圧の冷媒を屋外の凝縮器で冷やし、熱を外部に放出して液体に戻します。 最後に「膨張」工程で、液体冷媒の圧力を下げて蒸発しやすい状態にし、再び蒸発器へ送ります。 この一連のサイクルを担う機器がユニットとして機能し、冷却が続きます。
【種類別】冷凍倉庫で使われる冷凍機の主なタイプと特徴

冷凍倉庫で使用される冷凍機には、冷却方式によっていくつかの種類が存在します。 中でも代表的な2種が「蒸気圧縮式冷凍機」と「吸収式冷凍機」です。 これらはそれぞれ異なる仕組みで冷却サイクルを形成しており、メリット・デメリットも異なります。
どちらのタイプを選択するかは、倉庫の規模、必要な冷却能力、エネルギー源の状況、そして初期投資と運用コストのバランスなどを総合的に考慮して判断しなければなりません。 各メーカーから様々な特徴を持つ製品が提供されているため、仕様をよく比較検討することが重要です。
パワフルで効率的な「蒸気圧縮式冷凍機」
蒸気圧縮式冷凍機は、コンプレッサーを用いて冷媒を強制的に循環させる方式で、現在、冷凍倉庫の設備として最も広く普及しています。 この方式の最大の長所は、高い冷却能力を効率的に得られる点にあり、小規模な倉庫から大規模な物流センターまで、幅広いニーズに対応可能です。 構造が比較的単純であるため、多くのメーカーが製造しており、機種の選択肢が豊富なことも利点の一つです。
一方で、動力源として電力を大量に消費するため、ランニングコストが高くなる傾向にあります。 特に24時間稼働が前提の冷凍倉庫では、電力消費量が運用コストを大きく左右する要因となります。
排熱を利用して省エネに貢献する「吸収式冷凍機」
吸収式冷凍機は、コンプレッサーの代わりに熱エネルギーを利用して冷凍サイクルを動かす方式です。 具体的には、水の蒸発吸収作用を使い冷媒を循環させます。 この方式の最大のメリットは、工場の生産工程で発生する排熱や、コージェネレーションシステムから出る温水などを熱源として活用できる点にあります。 電力消費を大幅に抑制できるため、省エネルギー性能が非常に高く、環境負荷の低減にも貢献します。
また、コンプレッサーのような大きな駆動部がないため、運転時の振動や騒音が少ないという利点もあります。 ただし、装置が大型になりやすく、初期投資が高額になることや、温度制御の応答性が自動でありながら蒸気圧縮式に比べて若干劣る場合があります。
冷凍倉庫の冷凍機を選ぶ際に押さえておきたい3つのポイント

自社の冷凍倉庫に最適な冷凍機を選定することは、将来の事業運営を大きく左右する重要な決断です。 単にカタログ上の性能や価格だけで判断するのではなく、多角的な視点からの検討が求められます。
特に「保管物と倉庫規模に応じた冷却能力」「長期的な視点でのコスト比較」「関連法規への準拠」という3つのポイントは、選定プロセスにおいて必ず押さえておくべき項目です。 これらを十分に吟味することで、過不足のない設備投資と、安定的で効率的な倉庫運営が実現可能となります。
保管物と倉庫規模に適した冷却能力を見極める
冷凍機選定の第一歩は、倉庫に必要な冷却能力を正確に算出することです。 この計算には、倉庫の容積や断熱性能はもちろん、保管する品物の種類や量、1日の入出庫回数、扉の開閉時間、さらには照明や作業員、フォークリフトなど庫内で発生する熱量まで、あらゆる熱負荷の要因を考慮に入れる必要があります。
能力が不足すると設定温度を維持できず、保管物の品質を損なうリスクが生じます。 逆に能力が過剰すぎると、導入コストと電気代が無駄に高くなります。 そのため、専門家による詳細な熱負荷計算に基づき、実際の運用状況に即した最適な能力を持つ冷凍機を選ぶことが極めて重要です。
長期的な視点で省エネ性能と運用コストを比較する
冷凍機は年間を通じて連続稼働するため、その消費電力は倉庫全体の運用コストに直接的な影響を及ぼします。 したがって、機器選定の際には、購入時にかかる初期費用(イニシャルコスト)だけでなく、電気料金や保守費用といった運転費用(ランニングコスト)を含めたトータルコストで比較検討することが不可欠です。
近年では、インバータ制御により運転効率を最適化する省エネモデルが主流となっており、初期費用は高くてもランニングコストの削減効果で、数年で投資を回収できる場合も少なくありません。 エネルギー消費効率(COP)などの客観的な指標を参考にし、長期的な視点で最も経済的な選択を行うべきです。
フロン排出抑制法など関連法規への準拠を確認する
冷凍機の冷媒として使用されてきた特定フロンは、オゾン層破壊や地球温暖化への影響が大きいため、「フロン排出抑制法」により厳しく管理されています。 この法律に基づき、冷凍機の所有者には、専門業者による定期点検の実施や、冷媒が漏洩した際の国への報告、機器廃棄時のフロン回収などが義務付けられています。
近年では、環境への影響が少ない自然冷媒(アンモニアやCO2)や、地球温暖化係数(GWP)が低い新冷媒(HFO系、f4分類など)を使用した機器への転換が進んでいます。 法令遵守は当然のことながら、将来の規制強化も見据え、環境性能に優れた冷凍機を選択することが企業としての社会的責任を果たす上でも重要です。
よくある質問

冷凍倉庫の冷凍機を導入したり、運用管理を担当したりする際には、様々な疑問が生じるものです。 特に、設備の資産価値に関わる税務上の取り扱いや、万が一のトラブル発生時の対応、そして日々の安定稼働を支えるメンテナンスの進め方については、多くの担当者が知りたい情報でしょう。
ここでは、そうした実務面で特によく寄せられる「法定耐用年数」「故障時の初期対応」「メンテナンスの頻度」という3つの質問について、基本的な考え方や対応方法を解説します。
冷凍倉庫で使われる冷凍機の法定耐用年数は?
税法上で定められている法定耐用年数とは、減価償却の計算に用いられる、資産を使用できると見積もられる期間のことです。 冷凍倉庫に設置される冷凍機は、多くの場合「冷凍・冷蔵・冷凍ストック設備」に該当し、その法定耐用年数は13年とされています。 しかし、これはあくまで税務会計上の基準であり、機器の物理的な寿命を保証するものではありません。
日頃のメンテナンス状況や使用環境、運転負荷によって実際の寿命は大きく変動します。 したがって、設備の更新計画を立てる際には、この耐用年数を一つの目安としつつも、専門家による劣化診断や性能評価の結果に基づいて総合的に判断する必要があります。
冷凍機の故障が疑われる場合の初期対応は?
冷凍機の動作に異常を感じた際は、迅速で冷静な初期対応が不可欠です。 まず確認すべきは、制御パネルにエラーコードが表示されていないかという点です。 エラーコードが表示されていれば、その番号を控えておくことで、専門業者への連絡がスムーズになります。 次に、異音や異臭、異常な振動がないか五感で確認します。
ただし、原因がはっきりしない状況で、むやみに電源のオン・オフを繰り返すことは、機器にさらなるダメージを与える可能性があるため避けるべきです。 庫内温度の上昇など、保管物への影響が確認された場合は、直ちに契約しているメンテナンス業者に連絡し、具体的な状況を伝えて指示を仰ぐことが最善の策となります。
冷凍機の定期的なメンテナンスはどのくらいの頻度で行うべき?
冷凍機の性能を維持し突発的な故障を防ぐためには計画的な定期メンテナンスが欠かせません。 その頻度は機器の規模や種類使用年数によって異なりますがフロン排出抑制法で定められた簡易点検・定期点検に加え専門業者による保守点検を年に1回から4回程度実施することが推奨されます。
プロによる点検では冷媒漏れの確認圧縮機やモーターの動作チェック熱交換器の洗浄各種フィルターの交換など専門的な作業が行われます。 こうした定期的なメンテナンスは機器の寿命を延ばすだけでなくエネルギー効率の悪化を防ぎ結果的にランニングコストの抑制にもつながります。
まとめ
冷凍倉庫の冷凍機は、保管物の品質と安全性を守るための基幹的な設備です。 本記事で解説したように、冷凍機は気化熱の原理を利用した冷凍サイクルによって機能しており、その種類や特徴は多岐にわたります。 最適な機器を選定するためには、倉庫の規模や保管物に応じた冷却能力の算出、省エネ性能と運用コストの長期的比較、そしてフロン排出抑制法といった関連法規の遵守が不可欠な視点となります。
導入後も、定期的なメンテナンスを計画的に実施することで、安定した稼働を維持し、事業継続のリスクを低減させます。 不明な点があれば、専門的な知識を持つメーカーや施工業者に相談することが賢明です。
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| 資材センター | 滋賀県高島市勝野873-1 |
| 創業 | 昭和25年12月6日 |
| 資本金 | 50,000,000円(グループ全体) |
| 従業員数 | 182名(グループ全体)※2024年10月1日現在 |
| 売上高 | 63億円(グループ全体)※2024年9月実績 |
| 営業種目 | 建築一式、土木一式、大工工事、水道施設工事、とび・土工工事、造園工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事、宅地建物取引業、建築・土木設計、土地活用 |
| 許可・登録 | 〈建設業許可〉 滋賀県知事許可(特・般-3) 第80123号 〈一級建築士事務所〉 滋賀県知事登録(カ) 第126号 〈宅地建物取引業者〉 滋賀県知事登録(12) 第1267号 |
| 取引銀行 | 滋賀銀行 高島支店 関西みらい銀行 安曇川支店 滋賀県信用組合 安曇川支店 |
| 関連会社 | 株式会社トータル・オーガニック・プランニング 沢村ホーム株式会社 |
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